変化を楽しむ絵画の照明
写真3. |
一方、ドガの踊り子のように蝋燭かガス灯かは分りませんが足元からの舞台照明で描かれた絵画では、暖かな光で下から照明することによって(写真5)、より絵画の雰囲気を楽しむことが出来ます。もちろん本物の絵画を照明する場合は、紫外線や赤外線による退色や劣化を防ぐため、ガラスケースに納められ、極力光量を落とした中で鑑賞するのが一般的です。
写真4. |
「江戸時代にはガラスはなかった」というプライス氏の意向により、ガラスケースは取り払われ、光のあて方と光色が変化する中で、江戸絵画の素晴らしさを味わうことができます。このような展示が実現したのもコレクションそのものを持っているプライス氏の配慮が大きかったと思われます。
展示ごとに自然光をイメージした直管型蛍光灯による白色光とハロゲンランプのスポットライトがそれぞれ調光によってゆっくりと変化し、絵画の情景まで移り変わっていくように感じられ、光の変化によって絵画の見え方がこれほどまでに変化することに驚いている来客者も多いようです。
写真5. |
スイッチをいれれば明るさを簡単に得ることの出来る現代では、ほのかな光の変化を楽しむ機会が少なくなっています。ちょっとしたことではありますが、絵の鑑賞から光とものの見え方を考えてみるのも良い機会になるかもしれません。
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