照明・LED/照明器具・間接照明の基礎知識

住宅照明の失敗 その3

照明器具からは光とともに熱も照射されます。その熱でやけどや物の破損など思わぬ事故につながることもあります。今回は照明熱による失敗例をご紹介しています。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

照明熱に注意


温度測定器で熱を測定

写真1.温度測定器でスポットライトから照射される製品の熱を測定

照明器具からの出火による火事が時折ニュースで取り上げられることがありますが、その原因の多くは、古くなった器具を使用し続けているためだそうです。

照明器具の耐用年数は、10年とされており、10年を過ぎると器具の故障率も急激に高くなります。(図1)

外見上は問題なくても、器具内の見えないところで発火の原因になる個所があるからです。例えば蛍光灯に関しては安定器があります。安定器の寿命は一般的な使用で8~10年と言われています。電球型蛍光ランプは安定器がランプに内蔵されているため、10年近く点灯させていることはないと思いますが、ランプと安定器が別置の場合、ランプは切れたら交換しますが、安定器は換えないため劣化しやすく、最悪そこから出火する事例が希に生じます。またソケット部分の配線ケーブルも長期間の使用で傷んでくるため、そこがショートし、これも希に発火することがあるのです。

器具の配線関連以外の原因では、「ダウンライト器具から発生する熱と天井板の老朽化が関係した低温発火による火災」、「クリップ式の器具をベッドのヘッドボードに挟んで使用して眠っているうちに、その器具を跳ね飛ばして布団に落とし、布団が焦げてしまった」、などという事例も報告されています。

もちろん、このような事故は滅多に起こるわけではありませんが、照明器具は電気を使っていることと、器具自体から熱が出ることを忘れると思わぬトラブルに巻き込まれますので注意しければなりません。

最近はLED照明化が進んでおり、人によってはLEDは熱が出ないものと勘違いされていることもあるので注意が必要です。照明器具は商品化されるにあたって厳重な温度上昇試験が行われます。そこで器具によって適正なランプの種類とワット数が決められるのです。しかし、いくら器具自体が安全でも使用方法を間違えると、問題なので照明メーカーは、使用上の注意を商品の説明書に書いて、注意を促しています。

特に、問題になるのが、暗いからといってワンランクアップのワット数のランプを使用する人がいます。これは器具を変形させたり、ランプの寿命を短くさせるだけではなく、最悪は火災の恐れもあるので絶対にやってはいけません。
照明器具の寿命

図1.照明器具の寿命 参照:LED Lightin vol1 東芝ライティング株式会社


次の頁では、「照明熱でこんな失敗を」についてご紹介しています。
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