土地活用のノウハウ/入居者ニーズとマーケティング

金融不安での土地活用はどうやるべきか?(2ページ目)

昨年末に米国で発生したサブプライムローン問題に端を発し、日本でも株価暴落や金融不安、といった問題が発生。不況感も徐々に出始めています。こんな時には、土地活用についてどう考えた方がよいのでしょう?

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

物件の差別化で差を付ける


需要が少なくなったとはいうものの、人事異動も進学も全くなくなった訳ではありませんから、ここでも以前取り上げた、市場調査による物件の方向性やニーズの把握をする重要性があるわけです。人事異動が少なくなったとはいえ、一部の企業では定期的な人事異動が行われ、全国的な人員配置の変更を行う企業も少なくありません。

先にもあげた通り、供給は過剰気味になってきていますから、ニーズの把握や、ライバル賃貸経営者との差別化によるアパート建設を考えればよいのです。

建築費のコストを削減するのは大事なことですが、建物の見た目や機能面で劣るような建物を作ってしまうと、ライバル物件との差別化にならなくなる可能性があります。これは入居者サイドからみたら、質やサービス面の低下ということにもつながりますから、単に安かろう、悪かろうの建物を作ってしまい、結果として有効な土地活用にならなくなる可能性大でしょう。

以前取り上げた、品質にもこだわった建物を作る方が、賃貸経営という長期的な視点で考えた場合、最終的に良い結果につながることが多いものです。つまり、かけるべきところにはきちんとお金をかけた方が、建物も長持ちしますし、最終的な「収益」という観点でとらえた場合も収益拡大につながります。

お金をかけずとも工夫できる点も…


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クロス(壁紙)やクッションフロアを工夫するだけでひと味違う部屋になる
一方、お金をかけるだけではなく、賃貸経営上、工夫できることもたくさんあります。例えば、室内の壁紙(クロス)ひとつとっても、工夫次第で入居率をあげることができます。一般的には白のクロスを採用するケースが多いですが、個性的なクロス柄を選ぶというのも物件の差別化に繋がります。同じく、フローリングについてもその時代その時代の人気の色がありますので、その時代の人気の高いものを選べるようにしておくとよいでしょう。あるいは、フローリングよりもクッションフロアにした方が、見栄えはほぼそのままでコスト的には大幅に圧縮することも可能です。

外構(がいこう)部分も最初に建てる時にきちんと考えておくと、後で大きな差になっていきます。エントランス(入り口)部分や植栽をどうするかなど、工夫次第で見栄えが大きく変わってきます。エントランスはその物件の顔です。見栄えが良ければそれだけ高級に見え、住みたいという気持ちにさせるばかりではなく、賃料も高く取れる可能性が出てきます。植栽についても同様で、緑がある建物は心地よさを感じさせてくれます。

また、明確なコンセプトを打ち出すというのも一つの方法です。例えば、ペット共生型であったり、デザイナーズであったり、女性専用であったり、外国人可としたり、防犯面で強化してあるなどの、借り手に分かりやすいコンセプトが打ち出せれば、差別化にもなりますし、物件のセールスポイントにもなりえます。

資産運用という観点から考える


ところで、株式投資と土地活用を比較して考えてみると、冒頭にもあったようにリーマン破綻の影響で、株価も暴落から乱高下の様相で、株価は一個人投資家ではいかんともしがたいところがあります。どんな投資にもリスクが伴いますが、リーマン破綻のように投資家の責にないところで株価が変動しますし、このような急激な変化が発生した場合、一般の投資家の多くは対応しきれないのが現状です。そう考えれば、土地活用を堅実に行うことによって得られる不動産収入は長期的な視点でみても投資家の努力である程度の収益率のアップも見込め、かつ安定的な投資であるといえるのです。

次回は、この時代において土地活用を成功させるために必要な、コンセプトの練り方について詳しくお伝えします。

<関連リンク>
土地活用の成功には市場調査が大事!
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