3年半が経過した「かんかん森」
コモンミールのキッチンをご案内します
コモンダイニングから見たセミオープンスタイルのコモンキッチン全景。2間×2.5間位のキッチンと1.5m×1.8m位の食品庫がつながっている。手前の配膳台と収納庫は最近増設されたもの。
キッチン左手に手前から業務用コンビオーブン、ガスレンジ、調理台、冷凍冷蔵庫と家庭用冷凍冷蔵庫が並び、右手にはL字型家庭用システムキッチンと食器棚、中央にステンレスのアイランド作業台、正面奥には業務用シンクと業務用食器洗い機がレイアウトされ、正面奥黒い出入り口の奥が食品庫となっている。
配膳カウンターの上には雑然と酒類やコーヒーなどの嗜好品が並ぶ。
週に3回の割で作られるコモンミールは、訪問した日には20人分の食事を準備する下ごしらえが始まる時間でした。
炊飯器は家庭用のもの2台で充分に間に合っているそうだ。
かんかん森ご自慢の業務用コンビネーションオーブン。使用頻度はかなり高いようだ。
最近のレシピを見ると、グラタン類(スペアリブと野菜、海鮮、豆腐、野菜)/スチームオーブンで生魚や肉を焼く(舌平目のムニエル、ササミフライ 、鶏胸肉ガーリックソテー、サケのマヨネーズ焼き、鶏肉のロティ、ポークピカタ、白身魚のトマトソースソテー、ハンバーグ、まぐろハンバーグ)/オーブンでパンを焼く(手づくりパン、ピザ)/干物を焼く(サケ塩焼き、アジ干物焼き)/天ぷら、フライ(オイルシャワーをかけて、油を少なくしっかり天ぷらの味を損なわず)など幅広い料理に活用している。
業務用ガスレンジも最初のうちは、扱い慣れていなかったそうだが、今ではなくてはならない道具の一つになっているという。
いろんな人が使うため、ガスレンジのゴトクはかなり錆が出始めている。このあたりも使い終わったあとの手入れのルールを確立しないと、耐用年数前に交換する必要が出てくる。
ステンレス製のアイランド作業台は90cm×150cm位のサイズなので、20人分の調理作業台としてはちょっと狭い感じがする。
最近購入したという業務用冷蔵庫はかなり重宝しているという。冷凍能力が高いため食材の一括購入や長期保存が可能となり、コモンミールレシピに巾が増えたようだ。
業務用シンクに設置されたハンドシャワーは水ハネが強いため実際には殆ど使われていない様子。奥のブルーバケツの下が業務用の食器洗い機。短時間で洗えるのが魅力という説明だが、このキッチンで使われるような一定形状のグラスや皿など特定の食器を大量に洗うには適しているが、一般家庭用の食器にはちょっと無理がある。
実際にハンドシャワーを使ってみて、その水ハネの凄さにビックリ。海外の最新キッチンに時折見かけるこの水栓金具が一般家庭用としてはちょっと採用できないことが実感できる。
L字型システムキッチンにはシンクがセットされているが、コンロは業務用ガスレンジを使う。シンク左には長尺の食器棚。食器洗い機と食器棚との位置関係が少し離れ過ぎていて作業性に問題があるように思う。
食器は食器棚裏側にもストックされている。このあたりの動線も気になる点だ。
殆どの食器は白の陶磁器に統一されているが、お椀や茶椀に小鉢類などこだわりの居住者用の食器も少しある。
キッチン奥の食品庫には洗剤類、ラップやアルミホイルのスペアが置かれている。
不定形のこまごまとしたものの整理にはもう少し収納方法を考えたいところだ。
奥のほうには調味料の買い置きなどがかなり保存されている。
■「かんかん森見学」を終えて
ここでの生活が始まって3年半が経過し、私たちが見学させていただいた時から3年が経過しました。
この時間の経過の中で、何が変わり、何が変わっていないかを見つけたく今回の見学会を計画し、かんかん森居住者の木下さん、佐々木さん、坂元さんなど多くの方々とコレクティブハウジング社の皆様のご協力をいただいて実現したものです。
いろいろなコモン施設を拝見した実感はこの3年間でずいぶん生活感が出てきたなという印象と、正直なところ、「よく、やっているなー」と感心しました。相当意識の高い居住者の方達で運営していかないとこの3年半は続かなかったでしょう。
これからの日本人の集合住宅観、高齢化社会における共住体のあるべき姿、最も大切である新しいコミュニティ形成のための共有できる価値観等など、「かんかん森」が提示してくれている問題点と解決策は大きな指針となって評価される時代が必ず到来すると思います。
これからも、ますます密度の高い共生住宅を目指す活動が続くことを期待したいと思います。
■かんかん森スタート半年目の見学記事
■NPOコレクティブハウジング社
■コレクティブハウス「かんかん森」
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