不動産売却・査定/買い換えの基本とテクニック

知っていると得する不動産の雑学講座<2> 実測と登記簿、どっちで判断?

登記簿売買か?実測売買か?は大事な選択です。実測してあれば実測売買と決め付けるのは危険です。実測にも色々な実測があります。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド


土地の売買には実測売買と登記簿売買があることをご存知ですか?
【関連記事】 『実測売買と登記簿売買』(首都圏で家を買う)

土地を売買するときに、面積に関して3つの状況が想定できます。

1.実測面積がまったく分からない。
2.実測図はあるが、登記簿面積との違いがある。
3.実測図があり、実測面積と登記簿面積が同じである。

1の場合に、そのまま取引すれば登記簿売買となり、実測面積で精算すれば実測売買となります。面積の増減リスクを買主が負うのか、売主が負うのかという選択です。3の場合には、問題なく登記簿売買となります。今回は、2の場合を詳しく説明します。

「実測図がある」とは言っても、いろいろな実測があります。

●昔の尺貫法で書いてある実測図
●メートル法で対角線が切ってある実測図
●ポイントを座標で示してある実測図


私が住んでいる地域の法務局で受け付ける実測図は、第3の座標が示してある実測図だけです。それ(座標法による求積)がむずかしい場合には他の方法で構わないというのが原則だそうで、対角線による実測図(三斜求積法による求積図)でも受け付けられる地域もあります。

また、実測図には廻りの所有者と境界線に対する承諾が得られていない現況測量図というのがありますから、注意が必要です。測量の実務でいえば、何点かのポイントに囲まれた土地の面積を測ることは、むずかしいことではありません。大事なことは、廻りの所有者から境界線に対する承諾を得ることです。なので、測量をするときに、物理的に測るだけ測っておいて、隣地所有者にあたることを先延ばしにすることがあります。そうした実測図を「現況測量図」といって、「隣地との立会いが済んでいません」とか、そういう趣旨のことが書いてあることがあります。隣地や道路が国や市の公の土地だった場合に、その境界承諾を「官民査定」と呼びます。隣地が官地だった場合には、「未査定につき面積に増減が生じることがあります」とか、書かれていることがあります。

現況測量図に対して、上記の隣地所有者の承諾を取るところまで完全に行うのが
「確定測量」です。さらに完璧なのは、登記簿の面積も確定測量と同じ正しい数字に直すことまですることで、これを「地積更正登記」と言います。

地積更正登記とは、土地の面積を正しく直し、誰にたいしてもその面積を主張できるように測量図を法務局に保管してもらいます。が、隣地の承諾を得ていない現況測量図は法務局に受け入れられない場合があります。確定測量を行わなければ、地積更正登記をできないことが原則です。法務局の登記官は隣地の所有者の承諾印をもらってきなさいといいます(特別な事情がない限り)。原則的には、
印鑑証明書付きの実印での承諾印が必要とされます。

現況測量図があれば、建築はできますし、建築確認申請もできますが、不動産売買の世界では、現況測量図は参考資料に過ぎません。
ですから、実測図があるから実測をする必要がないと考えるのは、早合点です。必ず専門家に相談してから、売買方法を決めてください。現況測量図しかない場合には、登記簿売買を選択した方が有利な時と実測売買を選択した方が有利な時と、判断の分かれるところです。つまり・・・

■登記簿売買を選択した方が有利な時・・・
現況測量図で、実測面積が公簿より多くないことが確認できていれば、当然に登記簿売買を選択した方が売主は得です。実測面積が多くても、確定測量の費用を明らかに上回るほど多くなければ、売主から実測売買を申し出ることは損です。

■実測売買を選択した方が有利な時・・・
実測面積が公簿より多ければ、売買代金も増えるケースが多いでしょう。売買代金の増額が確定測量の費用を上回る時には、実測売買を選択した方が売主は得をします。もちろん、隣地所有者の承諾印をもううのに手間取るリスクは負いますが・・・。
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