新・シリーズ「ライフプランの中で家の買い換えを考える」の連載を始めました。
第1号は『退職前後の家の買い換え』でしたが、住まいを換える大きなきっかけには、他にこどもの教育、親との同居などがあります。相続もそのひとつのきっかけです。家を持つに至った理由の27%もが相続または贈与によるということです。(金融広報中央委員会調査)
相続に関係する住み換えにはどんな注意が必要でしょうか?
今回は、相続に関連する家の売却にまつわる税金問題を取り上げました。

●相続で家をもらった

これは本人にとってうれしい場合と望ましくない場合とがあります。うれしい場合とは、「家をもらっちゃった♪」ということでしょうし、望ましくない場合には「住まなくてはいけなくなった」という表現になります。
自分で買ったのではないので、取得原価の意識が薄くなりますが、そこは大事なところです。相続とは取得原価を引き継ぐことなので、相続で取得した家を売るときには大きな譲渡所得税が発生する可能性があります。よく間違われるのが、相続税の申告の根拠となる相続税評価額が取得原価だと思ってしまうことです。
相続で取得した場合には、元の取得原価を引き継ぐということは、相当に安い原価だということです。また、昔のことでいくらか分からない場合には、譲渡金額の5%とすることが認められています。

●相続から3年以内に売るメリット

家を相続した(また、遺贈された)けれども売ろうと思う場合には、所得税の心配をしなければなりませんが、相続の申告期限から3年以内に売るか、10年を超えてから売るか、ふたつの考え方があります。
10年も持っていられない場合には(もっと早く買い換える必要があれば)、3年以内に売ることで取得費に払った相続税を加えることができる特例があります。相続の申告から3年以内には、「相続税の取得費加算」という特例の適用が受けられます。家などの不動産を相続し相続税を納めた方が使える特例ですが、次のような計算式により相続税負担額を、取得原価に上乗せすることができるので、大変賢い税金対策となります。



10年を超えてから使える特例は最後にご説明しましょう。

●相続でもらった家を分けられないとき

相続時の遺産分割で、亡くなった人の家を誰か一人が受取ることができた場合には、それをいつ売るかという問題が残るだけですが、そう簡単に分けられない場合も多いです。相続財産である家を複数の相続人で相続し、それを売却してからお金で分ける場合には「換価分割」という方法で遺産分割を行います。家を、相続する人たちの共有で相続しておいて、その家をそのまま売って、その売却代金を持分割合に応じて分けることです。相続税の取得費加算ができないケースでは、かなりの譲渡所得税がかかることは、前節でご説明したとおりです。

相続人のうちの一人が、他の相続人に分ける現金を持っていて、しかもその家を売る必要がない場合には、その一人がその家を全部相続し、分けるべき財産を自分の現金から払ってあげる「代償分割」という方法もあります。

●相続から10年超で売るときの「相続した居住用財産の買い換えの特例」

家を相続してから10年以上経っている家の売却では、また違う課税の繰り延べ特例を使います。
『特定の居住用財産の買い換え特例』のご紹介した「相続した居住用財産の買い換えの特例」に該当することになります。特定の居住用財産の買い換え特例との違いは、本人が通算で30年以上住んでいたことが条件です。

「30年以上住んでいた」とは、親や祖父母と生前同居していた住宅を受け継いだということです。ただし、通算で30年であり、買い換える時点で30年住み続けなくてもかまいません。たとえば生まれてから30歳までその家に住んでおり、その後独立してしばらく離れて暮らしていた、というケースでも適用できるわけです。

税制の特例の適否については、最寄の税務署か税理士に必ずご確認ください。

【ライフプランの中で家の買い換えを考える バックナンバー】
第1回「退職前後の家の買い換え」
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