不動産売却・査定/買い換えの基本とテクニック

<3>子どもの教育を考えた住まい探し

家を買うときには、子どもの教育環境をよく調べてあげてください。「家を買う」ということは、子どもが通う学校も決めるということなのです。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド


「住まい選び」とは、同時に我が子が通う「学校選び」と直結するのです。
アメリカ人が住まいの場所を選ぶ根拠は、「教育」と「治安」というところによるそうです。つまり、良い学校に通えることと、治安が良いことを住まい選びの最重要ポイントにしているのです。また、中国には「孟子三遷の教え(※)」というものがあるのですが、それは「子どもの教育には環境を大事にしなければならない」という教えです。

皆さんは、教育環境と住まい探しをどうリンクして考えていますか?

※孟子が幼少の頃、墓の近くに住めば葬式の真似をし、市場の近くに住めば商売の真似をし、学校のそばに移ったら、礼儀作法の真似をして遊ぶようになったので、孟子の母はそこに住居を定めたという故事。

日本では、小中学校の成績に対する関心は深いものの、まだ現代のアメリカ人や中国の故事にあるほどの「本質的な教育熱心」にはまだ遠いようです。学校にこだわる人は私立を選べばいいから、学校と住まいは別の話という割り切りもあるのかもしれません。

しかし、私たちは義務教育の維持のために、たいへんな税金を納めています。一年間に子ども一人に使われる税金の額は、小学生で80万円、中学生で120万円と言われています。安易に私立学校を選ぶことで、これを使う権利を放棄することは、本当にもったいないでしょう。

また、私立が公立学校よりも良いとも限りません。昔と違って、今は公立にも学校格差が現実に存在します。その地域の教育委員会のやる気や校長先生や教員の資質・能力の違いが、成果として実っている素晴らしい学校もたくさんあります。いわゆる、パターン思考で学校を「群れ」で評価することが無意味であると言えます。要は個々の学校の問題であり、私たちはそこから選択できるのです。

私は家を購入された方に、「ご自分がお住まいの学区の教育レベルをチェックしましたか?」と質問しています。ほとんどの方が、うわさで聞いた程度の関心です。私は、できるだけ当事者(教育委員会、学校、保護者、地域の人)から、現状のヒアリングを行うことをおすすめします。そうすれば、後悔のない住まい選びができると思います。

家を買う前であれば、学校を調べて住まう場所を選ぶことができますが、いったん買ってしまってから学校を替わりたいと言われたら、本当に私立に行くしかなくなってしまいます。

地域の教育環境を問い合わせる当事者三者は?
●自治体の教育委員会に問い合わせる
●学校の校長や教頭に問い合わせる
●学校に通っている保護者に聞いてみる

教育レベルのチェックって、何を聞けばいいの?
○学校の雰囲気や子どもたちの生活ぶり
○地域の風紀と青少年犯罪の状況
○私立学校や他地域の学校へ流出する比率

もちろん、最近の自治体では「学校選択制」なる仕組みを導入して、自治体の中での選択の幅を広げている地域もあります。


ここで挙げた他にも、様々な取り組みをしている自治体がありますので、お住まいの(又はお住まいの予定の)地域の自治体に、直接確認する事をおすすめします。


子どもをこの地域で育てようと確信が得られてからでも、家を購入は遅くないのではないでしょうか?

こどもの教育環境も確認できないままに、しかも十分な頭金の準備ができていないままに、家の購入に踏み切り、
自分の借金と子どもの学校を固定してしまうデメリットは、人生でのかなりの重石になると思います。

【ライフプランの中で家の買い換えを考える バックナンバー】
第2回「相続で家をもらっちゃった!」
第1回「退職前後の家の買い換え」
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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