ハウスメーカー・工務店/ハウスメーカー・工務店の特徴

一戸建ての依頼先にはどんなところがある?

ハウスメーカー、住宅FC、工務店、建築家・設計事務所など戸建て業界のプレーヤーには様々な業態があり、どの住宅会社で建てるにせよ、それぞれ一長一短があります。それらの比較をしてみましょう。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

戸建て業界の王者「ハウスメーカー」

積水ハウス
テレビCMでも有名な積水ハウスはハウスメーカーでもトップメーカー。主軸はプレハブ工法ですが、最近はフリー設計に力を入れています(写真協力:積水ハウス
豪華な住宅展示場のモデルハウス、華やかな広告CMやイベント、センスのよいHPやカタログ……。知名度がもっとも高いのがハウスメーカーなので、「一戸建ての依頼先=ハウスメーカー」と結び付けがちですが、戸建て業界全体で見ると、ハウスメーカーは数多くある依頼先の一つであり、市場全体に占める割合も一部であることは、前回紹介しました。

では、ハウスメーカー以外にどんな住宅会社の種類があって、どんな特徴があるのでしょうか。これらを知ることで、より客観的に家づくりの依頼先を考えてみましょう。

まず、ハウスメーカーについてですが、会社の規模や生産方法などに厳密な定義があるわけではありません。おおまかに言えば、全国もしくは広範囲の営業網で展開し、工法の違いはあるにせよ、合理的なシステムで規格型やそれをもとにした住宅商品を提供しているメーカーを主に指します。知名度が高く、テレビCMや雑誌の広告、住宅展示場でみられるメーカーのほとんどが、ハウスメーカーといっていいでしょう。

まず、ハウスメーカーの特徴をつかむために、以下、一般的に言われている特徴とメリットをいくつか挙げてみましょう。

■部材を大量発注・工場生産できるため、品質やコストのスケールメリットが大きい
■工期が短いので、仮住まい費用や近隣への迷惑が少なくてすむ
■豊富な研究結果から編み出された提案力やデザイン力がある
■モデルハウスなどで実物を見て判断できる
■クレームや経営の不安が少ない

では、ハウスメーカー以外の依頼先候補として挙げられるフランチャイズや工務店、建築家(設計事務所)と、どのような違いがあるのか見てみましょう。

最近の工務店は技術・デザインともに進化している

写真名
最近のデザイン重視志向を受けて、デザイナーを起用して意匠性にこだわる工務店も増えています(最近の工務店の施工例)
工務店というと、昔ながらの家づくりを地場でコツコツ……というイメージがありますが、最近はハウスメーカーや設計事務所並みのデザイン性や提案力を発揮する中堅工務店も少なくありませんし、自然素材や健康志向、高気密・高断熱住宅を前面に出して個性や独自性をアピールする工務店も増えてきています。

ハウスメーカーに比べて価格が割安で、地元に密着しているところも多く、「完成後もちょっとした修理やリフォームが気軽に頼めそう」という理由で選ぶ人も少なくありません。ハウスメーカーのように商品を固定化していないので、比較的、細部にわたり顧客の注文を聞くことができ、材料や機器の組み合わせの自由度もあります。

ただ、ひとくちに工務店といっても、社員を何百人も抱えたメーカー並み工務店から、家族だけで経営している零細工務店までさまざま。規模の小さいところはどうしても経営面での不安がつきまといますし、独自のデザイン集団を抱えているハウスメーカーなどに比べると、デザイン性や提案力にやや乏しいことも否定できません。

一方で、企業や社長の人柄・考えが施主に伝わりやすく、地場情報にも精通していたりするなど、資金力や規模だけで測りきれないメリットがあるのも工務店ならでは。設計能力や技術力、工事管理能力は、その工務店の能力にすべてかかっているといえます。

次ページでは、いわゆる建築家が主宰する設計事務所、そして新興の住宅フランチャイズ会社について見てみたいと思います。
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