推測要因1「1棟あたりの平均単価・建築費が上昇」
団塊世代のリタイアを狙って各メーカーが付加提案に動いている |
(社)住宅生産団体連合会の今年4~6月の業況調査によると、受注に占める建て替え率の割合はやや増加傾向にあり、「受注の半分以上が建て替え」という業者は20%台に回復。2006年度「戸建注文住宅調査」でも、30歳代など世帯主の若年化傾向が一段落し、代わりに55歳以上の高齢層の増加が顕著になっていると報告されています。
かつての若年層をターゲットにしたローコスト住宅ブーム時代が影を潜めるにつれ、各社とも中高級路線を強化。オール電化や太陽光発電、外断熱などで付加価値をつけることで完工ベースで3,000万円台となり、資金に余裕があり上質な素材を好む団塊世代向け商品の投入でより平均単価価格も引き上げられている傾向にあります。
推測要因2「原油やナフサ高騰に米サブプライム余波?」
ここ最近続いた原油高騰に加えて、世界的なナフサ高も続いています。ナフサとは粗製ガソリンとも呼ばれ、原油を常圧蒸留した際に得られる軽質留分のこと。日本の石油化学工業はナフサを主原料としており、約6割をサウディアラビア、UAE、韓国等から輸入。住宅分野でも包装資材やビニール床、屋根材や接着剤などに多く使われており、住宅用樹脂メーカー各社は、自助努力の域を超えるとして今年7月、10~15%以上の大幅値上げを相次ぎ実施しました。住宅樹脂建材などに使われるナフサや原油の上昇が続いている(出典:財務省「貿易統計」CIF価格) |
とくに今夏の米サブプライムローン問題のあおりで、サブプライム市場から投資家が引き上げた資金が原油に集中し、原油価格が史上最高値をこの9月中旬に更新。日本においては、資材の値上がりを自助努力で吸収しようと努力している住宅企業も多いようですが、こうした世界的な原油高が建築費全体を押し上げる可能性もないとはいえません。
ガソリン高は材料費だけでなく住宅資材の輸送費や鋼材価格などにも影響が考えられますが、ただハウスメーカーの場合は、調達先と半期ごとに購買価格を交渉して決定することが多いので、スポット買いのマンション業者などとは切迫感が多少異なるかもしれません。
推測要因3「ロシア原木関税引上げなどウッドショック」
木が足りない?! 南洋材の伐採規制に加えてロシア原木が実質「輸出禁止」に等しい関税率に |
国内建材メーカーでは国産スギ材や海外の代替材活用に向けて生産体制を大きくシフト。大建工業は来る2009年に備え、フローリング基材などの合板をリサイクル材や繊維版に代替できる事業を強化する方針を発表しています。
……と、こうしたさまざまな要因が絡み合ってここ1~2年続いた価格上昇。実はここに来てその傾向にちょっと異変が。戸建て価格はどう動く傾向にあるのでしょうか? 次ページでみてみます。