住み替えたいけど、マイホームどうする?
「定年後はリゾートや田舎暮らしをしたい」と希望する団塊世代に向けて、国や自治体もU・Iターンを呼びかけるイベントを各地で開催(写真提供:都市機構) |
例えば、都市部に2階建てのマイホームを所有している人が、「こんな広い必要はない」と平屋に建て替えることは、ある意味もったいない話。ならば子育て中の子供たちが住んでくれれば良いのでしょうが、核家族化や通勤の利便性などを考え合わせると実現が難しい場合が多いようです。
さらに、まだ住宅ローンが残っているかもしれず、もし壊すことなく住まい手が変わるだけで、さらに何十年にもわたって活用できる建物かもしれません。現在の住まい手にとって使い勝手が悪いという理由だけで平屋建てに建て替えることは、実は社会全体では不経済極まりないわけです。
都市の狭い住宅に住んでいる子育て世帯にとって、団塊世代の一戸建ては子供をのびのび育てられる理想の住まいにも |
もし、そこをうまく回すことができれば、建てては壊すというスクラップ&ビルドを回避でき、こうした世代間のミスマッチも解消されるのです。
動き出した「移住・すみかえ支援機構」
こうした時代の要請を受けて2006年4月に誕生したのが、「有限責任中間法人 移住・すみかえ支援機構」(JTI)。住み替えを希望するシニア層(50歳以上)のマイホームを借り上げ、賃料保証する公的機関です。「マイホーム借上げ制度」によってシニア層のマイホームを最長で終身にわたって借上げ、国の基金によるサポートも得て、安定した賃料収入を保証するというシステムです。シニア層は今住んでいる家を壊したり売却することなく、子育て世帯に貸すことで賃料収入が得られる(出典:JTIホームページより) |
家賃は市場相場よりやや低めになる模様ですが、「マイホームの借り手のいるいないにかかわらず、JTIが賃料収入を最低保証してくれる」という点は魅力。借り上げられたマイホームは耐震性能を確認したうえで、子育て世代を中心に転貸して運用。「子育て世代支援」「良質な住宅ストックの循環」という大きな問題が同時に解決するチャンスとして注目を浴びています。
都市のマイホームを手放すことなく、セカンドハウス的な郊外暮らしができる可能性も? |
2007年問題が生み出した「団塊世代向け平屋ブーム」は、業界が長らく抱えていた「住宅の世代間ミスマッチ」や「中古住宅の流通」といった大きな課題の風穴を開けるきっかけになるかもしれません。次回は「オトナ夫婦の家」第2弾をお送りします。お楽しみに!
【関連リンク】
・大和総研・資本市場調査部リポート「団塊世代の地方移住は見込めるか」(PDF)
・有限責任中間法人「移住・すみかえ支援機構」(JTI)
・アールシーコア(ビッグフット)公式サイト
・住友林業公式サイト
・セキスイハイム公式サイト
・積水ハウス公式サイト
・ダイワハウス公式サイト
・パナホーム公式サイト
・三井ホーム公式サイト
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