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あえて低く暮らす?オトナ夫婦の家(上)(2ページ目)

高層マンションもいいけど、土の近くであえて低く暮らしたい。団塊世代のリタイアをにらんで、平屋建て住宅が次々と発売されています。それと並行して進んでいる国や業界連携の動きも併せて紹介します。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

平屋ブームの裏で何が起こっている?

シニア夫婦イメージ
標準世帯だった4人家族が減り、夫婦2人や単身世帯が今後は主流に
これまでの住宅業界は、国の政策も各社の商品ラインナップも、「夫婦+子供2人」という4人家族を標準世帯として考えられていましたが、少子高齢化や非婚・晩婚の進行で今後その標準世帯は少数派に。代わりに増えてくるとみられるのが、熟年夫婦やDINKSなどの夫婦2人世帯です。

とくにこれまで好調だった30代などの一次取得層が、地価上昇のあおりを受けてやや勢いが鈍くなったこともあり、業界は子供が巣立った後の建て替え需要に相次ぎ取り組んでおり、子育て中心のライフスタイルとは根本的に異なる「オトナ夫婦の新しい住まいの形」を提案しています。

和リビングイメージ
くつろぎのリビングも座して「低く」。良いものを知り尽くした大人夫婦のインテリアは、子育て世代とは全く違ったものに
平屋建てに代表されるワンフロア暮らしの魅力は、言うまでもなく上下間移動がないこと。収納や洗濯物の上げ下げといった家事動線など、あらゆる生活動作をラクに行えることです。事実、三井ホームでは平屋(別荘含む)の受注は2002年度2%だったのが、2005年度には3%とジワリと増えており、またログハウスなどの平屋建てを主力に展開するアールシーコアでは、受注の7割が別荘でなく自宅需要だといいます。

団塊世代の地方移住は実現なるか?

とくに、マンションでなく一戸建てのワンフロアとなると、ある程度の敷地の広さも必要……ということで、戸建て業界がにらんでいるのが「田舎暮らし」「リゾート暮らし」といった地方移住ニーズ。パナホームが「沖縄移住」や「九州Uターン」などをテーマとしたイベントを展開するなど、住宅各社が様々な形で展開しています。
団塊世代はどこに動くか
2015年までの10年間の団塊世代の移動を予測。人口流出傾向が大きいのはグラフ左の大阪・東京・神奈川・愛知など大都市で、流入するのは右の高知・鹿児島・滋賀・青森など(出所:国立社会保障・人口問題研究所「都道府県の将来推計人口」より大和総研作成。拡大はこちらで見られます)

退職してしまえば通勤は必要なくなり、住む場所を都市に固定する必要がなくなる。子供が独立し、ネットの普及で遠隔からでも仕事ができ、年金もどこに住んでも受給できるとなれば、地方に移住する際の障壁は非常に低くなります。……ということで、業界以上に団塊世代にラブコールを送っているのは、国や地方自治体です。

都市機構チラシ
ふるさと暮らしを呼びかける都市機構キャンペーンパンフ
そもそも団塊世代は、かつて地方から都市に移住し、都市で働いてきた世代。団塊世代が再び地方に戻ることで地方の消費や景気が活性化し、団塊世代のもつ技能や人脈が次世代に引き継がれるとして地方の経済界は大きな期待を寄せています。

このように、国も地方も住宅業界も大きな期待を寄せている「団塊世代の住み替え」。しかしそこで前に立ちはだかる問題が。次ページでは、その問題とそれを解消すべく動き始めた国と業界の新プロジェクトについて紹介します。
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