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「家を買う」から「街を買う」時代へ(3ページ目)

高度成長期から日本の街を作り上げてきた「まちづくり」も、半世紀を経て「まち育て」という第2ラウンドに入っています。昭和40年代に誕生した多摩・港北NTの「今」を視察しながらの、ガイドの多感記。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

歩く街路はすべて緑に囲まれて

センター北駅前
観覧車でおなじみの「センター北」駅前。ショッピングモールや映画館などが集まり「にぎわい」を形成
港北東急SCやモザイクモール港北など、週末には若い子供連れファミリーでにぎわう港北ニュータウンも、まちづくり計画が決定したのは昭和44年。現在は20の小中学校が整備され、昭和大病院やリコー・資生堂などの企業も誘致され、住・働・遊・学のバランスのとれた街に成長しています。

このNTは幹線道路計画と横浜市営地下鉄計画と併せて計画。幹線道路と歩行者道路は立体交差にして歩車分離を図り、歩行者専用道路は総延長約56キロにも及びます。歩行者道路の脇には緑をふんだんに配したグリーンマトリックスシステムがとられ、小さな子供連れでも安心できる快適な歩行者空間を形成しています。

さてガイドが視察したのは、横浜市営地下鉄「中川」駅から徒歩10分の高級分譲地「横濱都築の杜」(全48邸)。駅からの道は緑道になっており、緑豊かな武蔵工業大学に隣接。徒歩12分の「センター北」駅周辺にはショッピング・文化施設が揃う恵まれた立地、港北NTを一望できる見晴らしのよい丘の上、そして人気の東急沿線ということもあり、分譲価格は1億円前後に。

横浜都築の杜
自然石で統一された外構がひとつの街を作り上げている(横濱都築の杜)
実際視察してみると、街の入り口で出迎えてくれるシンボルツリーや重厚な自然石で各戸を統一した石張りのゲート、緑と花で彩られた敷地内の遊歩道、電線を地中化しスッキリした街並み……なるほどその価格もうなずけるほどの、美しい街並みと高スペックな住宅でした。

住宅は積水ハウス、ダイワハウス、パナホーム3社の建築によるもの。各社の最新の商品・設備・性能がビルトインされており、街区で将来にわたって住みよい街を運営するため、住人による管理組合も結成。分譲地内には4か所の防犯カメラが設置され、街全体の防犯意識を高めています。

「まちづくり」から「まち育て」の時代へ

まち育てイメージ
事業者による「まちづくり」の後は、住民自身による息の長い「まち育て」が求められている(写真は都市機構がサポートするまちづくり支援)
実に40年以上の長期にわたる街づくりが今も続いている2つのニュータウン。決して古さを感じさせず、それどころか常に新しい生活文化・デザインを取り入れ、新しいファミリーを迎えてくれる寛容さ。それはやはり、その街を誇りに思う人々のコミュニティがあるからではないでしょうか。

これら2つのNTでは実際、まちづくり意識の高い市民の手による運営、リタイア団塊世代の地域回帰、女性を核としたコミュニティ活動など、住民による「まち育て」が行われています。「まちづくり」は事業者によって可能ですが、「まち育て」は事業者ではなく住民自身によって行うもの。街は1日にして成らず。半世紀にわたって住宅が延々と供給され続ける街の大きさ・懐の深さを改めて実感しました。

【関連リンク】
プレハブ建築協会「まちなみ景観評価の提案」冊子(PDF)
UR都市機構「多摩ニュータウンのまちづくり」 
UR都市機構「港北ニュータウンのまちづくり」 
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