外壁・屋根・断熱材/外壁材・屋根材・サイディングの選び方

屋根材の種類と特徴&知っておきたい基礎知識

住まいを守り、外観デザインにも影響する屋根材には、いくつかの種類があります。ここでは、選ぶ前に知っておきたい屋根材の種類と素材の特徴をまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

屋根材の素材は4種類に分類!特性やメリットとデメリットを知ろう

屋根材の種類と特徴&知っておきたい基礎知識

厚みを持ちつつ軽量設計。既存の屋根から葺き替えても重量負担は抑えられる。樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦 [ROOGA 雅  モダン・オーク] ケイミュー


屋根材は、住まいの性能を左右し、外観デザインにも大きく影響する住宅建材のひとつです。分類方法はいくつかありますが、一般的な戸建住宅で用いられる屋根材で考えると、粘土系、セメント系、スレート系、金属系の4種類。

粘土系には釉系と無釉系、セメント系はプレスセメント瓦とコンクリート瓦、スレート系には、セメント系である化粧(彩色)スレートと天然スレート、金属系には鋼板などがあります。

各メーカーからは、それぞれの素材の良さを生かしつつ、独自の工夫を施し、耐候性や耐久性、耐震性、デザイン性を高めた数多くの商品が提案されています。選ぶ際には、一般的な素材のメリット・デメリットを理解した上で、それぞれの商品特性、特徴を確認することが大切でしょう。
 

粘土系(瓦):釉系と無釉系があり、耐久性や断熱性に優れる 

通常、瓦(かわら)と言った場合は、この粘土系(瓦)を指します。粘土を主原料として混練、成形、焼成したものです。釉系と無釉系があり、耐久性や耐熱性、断熱性に優れる屋根材でしょう。形状、デザインによって和瓦と洋瓦と分けることもあります。

一般的に、粘土瓦は、他の屋根材に比べて重量が重いので、構造など耐震性への適した配慮が必要ですが、重さがあるため遮音性が高く、雨音も気にならないのがメリット。最近では、軽量化を実現した製品、ズレや脱落などがしにくい防災瓦などもみられます。

■釉系
プレス成形した瓦形の素地に釉薬(ゆうやく)を施した瓦で、さまざまな色を出せるのが魅力。釉薬瓦、塩焼瓦などがあります。表面の釉薬によって水が浸透しにくく、耐久性に優れ、退色や変色もないので、基本的にメンテナンス不要。和瓦の形や平形、S形などの製品も豊富で、和風洋風を問わず、さまざまな外観デザインの建物に使用することができるでしょう。

■無釉系
無釉は表面に釉薬をかけないもの。いぶし瓦や無釉瓦などがあります。粘土をプレスし、釉薬をかけず焼成過程でいぶし、表面に銀色の炭素膜をつけたいぶし瓦は、和風の住まいに適しています。無釉瓦は、ナチュラルな風合いが特徴で、素地がそのままの素焼瓦(スペイン瓦、琉球瓦など)、粘土以外の物質(金属など)を練り込んだ練込瓦、ムラのある濃淡が魅力の窯変瓦もあります。
 

セメント系(瓦):施工性が高いのが特徴。製造方法で異なる

セメントと砂を原料とした瓦。樹脂塗料で塗装を施したもので、施工性が高いのが特徴でしょう。製造の方法によって分類することができます。

■プレスセメント瓦
セメントと細骨材(砂)のモルタルが原料の瓦で、厚形スレートとも呼ばれます。無塗装品と塗装品があり、釉薬で表面処理を施し、耐火性能を高めたものが、施釉(せゆう)セメント瓦です。和型、平型、S形など形状もさまざま。スレート系より材料が厚く、どっしりとした印象が魅力ですが、最近では軽量化も図られています。

■コンクリート瓦
プレスセメント瓦より細骨材に対するセメントの割合が少ないもの。立体感のある形状が多いので洋風住宅向いています。
 

スレート系:セメント系の化粧スレートと天然スレートがある

スレートとは、粘板岩などの薄板のこと。屋根材としては、セメント系の彩色スレートと天然スレートがあります。
赤外線を反射する特殊顔料を配合し、美しさが長持ちするだけでなく、蓄熱も抑える。平形屋根用スレート [遮熱グラッサ・シリーズ コロニアル遮熱グラッサ グラッサ・クールブラック] ケイミュー

赤外線を反射する特殊顔料を配合し、美しさが長持ちするだけでなく、蓄熱も抑える。平形屋根用スレート [遮熱グラッサ・シリーズ コロニアル遮熱グラッサ グラッサ・クールブラック] ケイミュー

■化粧(彩色)スレート セメントに繊維を混入して強化した薄い板状の素材です。天然スレートに模していることからこの名称に(カラーベスト、コロニアルという商品の名称で呼ばれることも)。軽量で施工しやすいのが特徴で、表面の塗装に工夫を施しより耐久性や耐候性を高めたもの、遮熱タイプ、表面に凹凸感を持たせ自然石の素材感を表現したものなどもみられます。

色やデザインも豊富なことから普及している素材ですが、価格は、素材の厚みやデザインなどで大きく異なります。(昔は、アスベストを使用していたものがありましたが、現在の商品は使用されていません。)

■天然スレート
玄昌石などを材料にした本来のスレート。退色しない、黒く艶のある自然の色や素材感が魅力。重量のある高価な素材です。
 

金属系:軽量で加工しやすいのが特徴

加工しやすく軽量、施工性も高いことが特徴で、複雑な屋根形状にも対応できます。鋼板と非金属系に分けることができます。鋼板には、めっきや塗覆装を施したものもあります。カラーバリエーション豊富ですが、熱伝導率が高く断熱性が悪いことや遮音性が低いため雨音が気になることも。最近では、瓦のような形状のもの、断熱材を裏打ちし断熱性や遮音性を高めた製品もでています。既存の屋根の上から重ねて葺くことができるリフォーム向けの商品もみられます。
伝統的な瓦のような質感が特徴。表面に長期間色落ちしない天然石をコーティングした、ガルバリウム鋼板。 [T・ルーフ クラシック] LIXIL
伝統的な瓦のような質感が特徴。表面に長期間色落ちしない天然石をコーティングした、ガルバリウム鋼板。 [T・ルーフ クラシック] LIXIL

伝統的な瓦のような質感が特徴。表面に長期間色落ちしない天然石をコーティングした、ガルバリウム鋼板。 [T・ルーフ クラシック] LIXIL

■鋼板 平葺きタイプや金属成形瓦など、機能、デザインともに工夫された製品が出てきています。軽量で地震に強く、水分を吸収しないのが特徴です。

最近多く利用されるのが、ガルバリウム鋼板。アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板のことで、サビに強く耐久性、耐熱性があります。表面に、ポリエステル樹脂やフッ素樹脂の塗膜などを施した、遮熱性を高めた製品、サビや紫外線、酸性雨に強いタイプなども。最近では、天然石のチップなどをコーティングするなどして耐久性とデザイン性を高めたタイプもみられます。

■非鉄金属
アルミ合金板や銅板などの屋根材。銅板は昔から使われている素材です。


さまざまな種類がある屋根材を選ぶ際には、できる限り、カタログや小さなサンプルではなく、実物をチェックすること。最近では、比較的大きな実物サンプルが用意されているショールームもありますし、モデルハウスで用いられている素材を参考にしてもいいでしょう。また、屋根材は、新築であれば、比較的早めに決定しなくてはならない建材のひとつ。法的な規定など専門的な知識も必要なので、予算や希望などは、早めに施工会社や設計担当者に相談することが重要でしょう。


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