複合フローリングとは、基材に化粧材を張った木質系の床材
新築やリフォームの際に、多く用いられる床材(ゆかざい)は木質フローリングでしょう。木質フローリングは、無垢材(単層フローリング)と複合(複層)フローリングとのふたつに分類することができますが、一般的な住宅では、複合フローリングが主流となっています。複合(複層)フローリングとは、基材(合板、集成材、単板積層材など)の表面に化粧材を張り合わせたもの。商品的には、戸建て用とマンション用、床暖房用、防音用、水まわり用などが揃い、リフォームに適するタイプもみられます。
滑らかな肌触りのマットコート(艶消し)仕上げが特徴。ワックス掛けが不要でお手入れが簡単な天然木薄単板タイプのフローリング。 [天然木化粧床材 フォレスナチュラル〈アッシュ(ホワイトベージュ)〉] DAIKEN
表面の化粧材によって分類される
複合フローリングは、表面の化粧材によっても分類することができます。化粧シートなど特殊加工の化粧材を張ったタイプ、天然木の単板を用いたタイプ、挽き板を用いたタイプです。■化粧シートタイプ(シートフローリング・シートフロア)
樹脂やオレフィン、紙などのシートに、木目や石目、抽象的な柄などを印刷したもの(プリントシート、樹脂化粧シート、特殊加工化粧シートなど)を基材に張り合わせたタイプ。分譲住宅などでは、標準仕様となっているケースも多くみられます。
シートを重ねたり、表面加工を施すなど、メーカー独自の技術開発によって、本来の素材に近い雰囲気を持つものも多く、最近では、単板(突き板)のタイプと見分けがつかないような商品も増えています。また、石目模様や抽象柄などを取り入れたタイプも揃い、ナチュラルなインテリアだけでなく、モダンな空間にも合わせることが可能でしょう。
グレイッシュなカラーとナチュラルな木目感を感じる、特殊化粧シートのフローリング。[ベリティス 床材 gスタイルフローリング 145mm幅] パナソニック エコソリューションズ
天然木を厚さは0.3 mm程度から1mm程度に薄く削り、基材に張り合わせたもの。基材と合わせた厚みとしては、12から15mmというのが一般的でしょう。
張り合わせる天然木は、ナラやサクラ、カバ、ブナなどさまざまですが、単板の厚い方が、溝も深く木目が鮮やか。商品によってはむく材のフローリングと区別のつかないものもみられます。ナチュラルな淡色系、明るいホワイト系なども注目されており、木目を生かす塗装を施し、自然の風合いを持たせた仕上げも人気となっています。
■挽き板タイプ
天然木を鋸などで挽いて切った厚みのある板(2mm程度)を基材に張り合わせたもの。無垢材のような質感を持ち、反りやゆがみなどの狂いがほとんどないのが魅力でしょう。
表面素材のバリエーションも豊富になり性能もアップ
化粧シートタイプや単板(突き板)のタイプは、商品バリエーションが豊富なこと、さまざまな機能を持つ商品が揃っていること、品質にばらつきがないこと、施工性に優れていることなどから、一般的な住宅では多く取り入れられている床材です。最近の間取りプランで増えているワンルームのLDK空間の場合では、同じフローリングを用いるケースも多くみられますし、住まい全体を統一することも。耐水性の高いタイプが揃い、キッチンや洗面・トイレなどでも取り入れることができることも理由でしょう。
根太張りのできるリフォームに適する床材。 [床材 オーマイティRフロアーA 施工例] パナソニック エコソリューションズ
施工する空間に適した性能を持つ商品を選ぶことがポイント
化粧シートタイプも単板(突き板)のタイプいずれも、性能を高めた商品が多く揃っています。たとえば、凹みや擦り傷をつきにくくしたもの、キャスターや車椅子にも対応したものも。 また、表面塗装仕上げや特殊な硬化シートなどの仕上げによって、ワックスがけが不要なタイプなどもみられます。商品カタログには、これらの機能をマークなどで表記しているので、選ぶ際には具体的な機能や適する部屋などを確認することが大切でしょう。■複合フローリングにみられる性能や機能
・傷やヘコミが付きにくい
硬度の高い基材を用いたり、厚く滑らかな表面塗装を施し擦り傷をつきにくくしたもの、木材組織にプラスチック樹脂を染み込ませ硬化させる加工が施されているものなど。リビングやダイニング、子供部屋など、キャスター付き家具を用いる場所にも向いているでしょう。
・磨耗しにくい
物の移動や歩行頻度が高くても磨り減りにくいように加工された床材。
・変色しにくい
日差しなどによる塗膜の変質や色の変化がおきにくいもの。日当りのいい部屋に。
・汚れにくく、シミになりにくい
表面にフッ素塗装を施すなどした、調味料や薬品などをこぼしてもシミになりにくいもの。ダイニングなどに向いています。
・細菌の繁殖を抑える
抗菌塗装を施すことで、細菌の繁殖を抑えるように処理されたもの。小さなお子さんがいる部屋や清潔を保ちたい部屋などに。
・耐水性能を持つ
通常の暮らしの中の水漏れや水はねなどに耐えられる床材。洗剤のシミなどがおこりにくいものも。キッチンやサニタリー向けと言えるでしょう。
・湿気や熱の影響によるひび割れ(クラック)がしにくい
電気カーペットやファンヒーターによる温度の上昇、エアコンの乾燥などの湿度の変化によって、伸縮や合板表面の割れに伴う単板に生じるひび割れ(クラック)を起こしにくい(耐クラック)床材。
・防音性能
特殊な制振マットや緩衝材などを用いて、階下や隣室に伝わる音を軽減する床材。
マンション用直張防音床材/特殊加工化粧シート床材。階下への音を軽減する防音床材。広巾デザインが魅力。[ハピアオトユカ45石目柄(180mm幅タイプ)〈グレイッシュセルベ柄〉] DAIKEN
表面塗装仕上げや特殊な硬化シートなどの仕上げによって、ワックスがけの必要がないもの。お手入れがラクで、美しさも保つことができます。
・床暖房に対応
床暖房の熱に強く収縮やそりが生じないもの。床暖房の熱源の方式や仕上げ方法などにより、対応する商品が異なる場合も。
・ペット対策
ペットが滑りにくいように配慮されたタイプ、引っかき傷がつきにくく、お手入れしやすいものなど。また、おしっこへの対策を施したもの。アンモニアに強いもの、フッ素塗装などでシミになりにくくする工夫がなされた商品もみられます。
・ホルムアルデヒドなどの放出量を抑制
シックハウス症候群と関連があるとされるホルムアルデヒドの放出の少ない素材。
・環境に配慮
再生素材を用いるなど資源を有効活用した建材。
既存の床に重ね張りができるリフォーム向けの商品も
使用している床材の上に重ねて張ることができるので、手軽にリフォーム可能。[ハーモニアスリフォーム6 施工例(ピュアマーブル調)] LIXIL
最近増えているのが、リフォームの際に取り入れやすい床材です。複合フローリングの場合、既存の床の上から重ねて施工することができる、薄いタイプなどが揃っています。工事期間が短いことが大きなメリット。美しく仕上がる専用の納まり部材などが揃っている商品もみられます。
幅広やパーケットタイプなど、個性的な空間を生み出すことも
複合フローリングのデザイン的な傾向としては、幅の広いタイプの商品が多くみられること。幅があることで、高級感を得られるとともに、目地が少ないので掃除がしやすいというメリットもあります。また、異なる樹種を組み合わせたタイプやパーケット(寄せ木張り)タイプなど、個性的なインテリアを生み出すことができる商品も増えてきています。色合いも、ナチュラルなタイプだけでなく、ホワイト系やグレイッシュなもの、ダークな色合いまで揃い、さまざまなインテリアに合わせることができるでしょう。 樹種によって異なる木材表面の質感を、エンボス加工シートで表現。[ラシッサDフロアパーケット調] LIXIL
ショールームで色味や風合い、性能の確認を
複合フローリングを選ぶ際には、カタログだけではなく、ショールームなどで商品を確かめること。素材感や風合い、光沢などは、実際に目にしなければ、良し悪しはわからないものです。大きめの見本サンプルを床に置き、肌触りはもちろん、照明によって変わる表情などの比較検討を。お手入れやメンテナンス方法なども確認しておくことも大切なポイントでしょう。
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