空間をフレキシブルに利用できる間仕切り扉
最近の間取りの傾向のひとつは、空間を細かく区切らない開放的なプラン。LDKをひとつの空間としたり、リビングの一角に書斎や子供のスペースを設けたり。しかし、生活のシーンによっては、ある程度仕切って使いたい、将来的には個室のように分割したい、というケースも多くみられます。間取りプランにもよりますが、室内建具のひとつである間仕切り扉(可動間仕切り)を上手に取り入れることで、空間をフレキシブルに使用することが可能でしょう。
透明熱処理ガラスを用いた開放的なデザインは、空間を緩やかに仕切ることができるとともに、扉がアクセントにも。 [インテリア建材 ベリティス クラフトレーベル 内装ドア 上吊り引戸 施工例 LH型 透明熱処理ガラス ネイビーオーク柄] パナソニック
1.建材メーカーの商品バリエーションも豊富に
2.間仕切り扉の種類と特徴
■開閉スタイル
■素材
3.間仕切り扉の選び方のポイント
■Point1 室内扉や収納扉、床材などと同時に検討を
■Point2 目的に合わせたデザイン、スタイルを選ぶ
■Point3 開閉のしやすさをチェックしたい
■Point4 安全性にも配慮して
■Point5 ショールームで実物の確認を
建材メーカーの商品バリエーションも豊富に
従来の日本家屋では、襖が間仕切りの代表例。和室と洋室をつなぐ場合などに用いる、戸襖などもお馴染みですが、最近では、洋室にも適する、さまざまなタイプの間仕切り扉が、建材メーカー商品にも、豊富にラインナップされています。商品にもよりますが、扉の高さもいくつかの種類が用意されており、天井までのサイズを取り入れれば、開放時により広がりが生まれます。また、敷居や下レールがない上吊タイプを取り入れることで、すっきりとした床面となり、空間的なつながりを確保することも可能でしょう。
引戸上吊りタイプの可動間仕切り。シンプルですっきりとしたインテリアを実現できるデザイン。 [INTERIO ラテオ 可動間仕切り 間仕切り施工 ウォルナット] LIXIL
間仕切り扉の種類と特徴
■主な開閉スタイル間仕切り扉 は、建材メーカーによって、可動間仕切りや間仕切り開閉壁 、間仕切りスクリーン、間仕切りウォールなど、さまざまな名称で呼ばれています。いずれも、主な開閉スタイルは、引き戸タイプもしくは、折れ戸タイプ。引き戸タイプは、室内扉としても用いるケースもみられます。
・引き戸タイプ
片引きや引き違い戸、引き分け戸などがあり、コーナーに用いる(L字型に部屋を間仕切りる)ことができるタイプも。複数枚の引き戸が連なって開閉する引き戸連動タイプ、開けた扉が壁の中に収納される引き込み戸タイプ、扉を壁面側にまとめフルオープンになるスタイルもあります。
床材と統一感を持たせて空間に広がりを。開閉スペースを使い方に合わせてることができる折れ戸タイプ。 [INTERIOラシッサS クリエ 施工例 可動間仕切り 折れ戸タイプ LGA クリエラスク] LIXIL
複数枚の扉を折り畳むことで開閉するタイプ。扉を折って端に寄せ、フルオープンとすることも可能です。
■主な素材
・木質系だけでなくアルミ枠も
扉そのものの素材は、通常の室内建具と同様で、ナチュラルな木目の樹脂シート仕上げや突き板仕上げなどの木質系が多く揃っています。また、アルミ枠などを用いたタイプも。アルミ枠と木質素材を組み合わせたタイプもみられます。
リビングの一角などに設けたコーナーを仕切ることで、寝室や客間にも利用できる。[INTERIOラシッサS クリエ 施工例 可動間仕切り コーナータイプ シャインニッケル] LIXIL
木質やアルミ素材の枠の面材に、ガラスや樹脂などを用いたデザインもラインナップされています。用いられるガラスや樹脂は、透明なタイプだけでなく、半透明やアンティーク風のタイプなども。光を通すだけでなく、家族の気配を感じられるような、緩やかに仕切るタイプも増えてきました。
限られたスペースの中、空間を仕切りながらも、広がりや連続性を持たせることができるデザインが注目されているようです。
間仕切り扉の選び方のポイント
扉が連動して動き、スムーズで軽い操作で開閉できる。開放感のあるデザインの引き戸タイプ。[ベリティスプラス 内装ドア 上吊り引戸 3枚連動片引き HD型 施工例] パナソニック
■Point1 室内扉や収納扉、床材などと同時に検討を
間仕切り扉は閉めた時に、壁のように見えることが多い建材なので、インテリアにも大きな影響を及ぼします。プランニングの基本は、他の室内扉や収納扉などの建具、フローリ ングなどとのコーディネートに配慮すること。メーカーの室内建具や建材は、デザインやイメージごとにシリーズ化されているケースが多いので、それらから選ぶようにすればバランスが崩れることもないでしょう。
■Point2 目的に合わせたデザイン、スタイルを選ぶ
どのようなシーンで、どのような仕切り方をしたいのかによって、選ぶデザインやスタイルも変わってきます。たとえば、幼いお子さんがいる場合に、リビングとダイニングキッチンに間仕切りを設けるのであれば、ある程度、様子が分かるようなデザインとしたいもの。お客様が多いのであれば、壁のように見える、しっかりと仕切れるタイプがいいかもしれません。
また、寝室と書斎の間には、気配を感じるタイプがいいかもしれませんし、ワンルームの子供室を兄弟などの個室として仕切るのであれば、光が漏れないようなタイプなどが向いているでしょう。
■Point3 開閉のしやすさをチェックしたい
機能面では、開閉のしやすさ、引手や取手(ハンドル)部分の形状が使いやすいかどうかなどの確認を。通し引手など框部分を利用したもの、ボタン式で使わない時は扉面に収まるようなタイプもみられます。間仕切りの大きさや重量によって、使い勝手も変わってきますが、デザイン的にはあまり目立たないものがおすすめ。また、引き戸タイプであれば、開閉時に扉の跳ね返りを防いでゆっくり確実に引き込む機能のあるものもいいでしょう。
■Point4 安全性にも配慮して
床面のレール形状や段差、開放時や閉めた場合の扉の固定方法(ストッパー)なども確認しておきたいポイントのひとつ。また、幼いお子さんがいる場合には、指を挟みにくいような配慮があるかなど、安全面も配慮しておくことも大切です。
控え壁のいらないアウトセット納まり。上吊りタイプで、床にはマグネットガイドピンが。さまざまな用途に利用できる。[間仕切り開閉壁 スクリーンウォール S3タイプ<ソフトチェリー柄> アウトセット納まり] パナソニック
間仕切り扉は、「いろいろなシーンに合わせて空間を使うことができる」という声と、「あまり開閉することもなく、結局、開けっ放し」という、成功失敗の両方の声が聞かれるアイテムのひとつ。せっかく取り入れるのであれば、有効利用ができるように、間取りはもちろん、ライフスタイルや家族構成、将来の変化などをイメージした上で、プランニングをすることが大切でしょう。
また、一般的に、間仕切り扉を設けても、壁で仕切られた個室に比べると、防音性を確保するのは難しいもの。密閉の度合いなどは商品によって異なりますので、気になる場合は、ショールームで実際に確認するようにしましょう。他の室内建材と一緒に、素材やデザイン、開閉時の使い勝手など、実際に動かし確認することがポイントです。
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