不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

今さら聞けない「住宅性能表示」ってなに?(2ページ目)

耐震偽装事件以来、にわかに注目を浴びている住宅性能表示制度。住宅性能表示を受けていないマンションは購入しても大丈夫? その費用は? 今回は、制度の内容や利点などを、Q&A方式でわかりやすくまとめました。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

Q:住宅性能表示制度にかかる費用はどのくらい?

マンションの場合、その多くは建主(不動産会社など)が申し込み、建設会社が申請図書を作成し、評価機関に申請して評価を受けます。設計住宅性能評価と建設住宅性能評価の両方を受けた場合、評価機関に支払う費用が70m2程度の住戸で、一住戸あたり約4万円程度かかります。この他に申請書の作成などで費用が発生します。それらの費用は販売時に購入価格に上乗せされています。

費用負担はありますが、見た目ではわからない住まいの性能面が客観的に評価されること、第三者による検査の回数が増え、人目に触れる機会が多く偽装などが発覚しやすいことを考えると決して高いものではないといえるのではないでしょうか。

Q:新築住宅しか受けられないの?

既存住宅性能評価を受けたものにつけられるマーク
既存住宅性能評価を受けたものにつけられるマーク。中古住宅を買うときにこのマークがついているかチェックしよう。
住宅性能表示制度には、新築住宅を対象にしたものと中古住宅を対象にしたものがあります。評価内容は多少異なっています。また分譲住宅だけでなく、賃貸住宅でも受けられます。中古住宅を対象としたものを既存住宅性能表示といい、中古住宅に全国基準で性能面の成績表をつけています。この制度を利用することで、中古住宅同士の比較がしやすくなり、それが中古住宅流通の風通しを良くし、市場が活性化することもその制度の目的になっています。

今現在、限られた資源を大切にすること、産業廃棄物を出さないという自然環境保護の考え方が広まっています。そのような観点からも、これからは次々に新しく建て壊すというスクラップ&ビルドの考え方よりも、すでに建っている中古住宅をいかに活用していくかということに関心が集まってくる時代となります。中古住宅の売買の活性化が見込まれますが、この既存住宅性能表示制度が大きく貢献していく時代になるでしょう。

Q:すべての項目が良い評価である必要はあるの?

住宅性能表示制度で評価する10の項目は前頁で書きましたが、その10の項目全てに良い評価を求める必要はありません。住まいの性能には「トレードオフ」の関係があり、こちらの評価がよければ他の項目の評価が落ちるといった現象もおこります。例えば「光・視環境」という項目で窓を大きく取りいい評価が取れたとしても、窓が大きいと温熱環境的にはマイナスに働く、壁量が少なくて構造的に弱くなるなど、あちらを立てればこちらが立たず、といった現象が起こることがあります。全ての項目でいい評価を受けることはなく、自分にとってどういった項目を重視したいか決めることが大切です。

住宅性能表示制度は2000年にできたばかりの新しい制度ですが、建築基準法と並び法律で定められた制度です。建築基準法は最低限の基準を示したもの、住宅性能表示制度はそれ以上の性能の基準を示したものとして同じくらい大切な制度です。ぜひ活用してより安心な住宅を手に入れるようにしたいものです。

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