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家族だって気になる内部の音

外部の騒音については近年の建材開発により解消されてきた傾向にありますが、戸建住宅の中で発生する音については意外と見落とされています。さてどんな防音対策ができるでしょうか。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

戸建住宅の音対策はマンションよりも遅れている!


戸建住宅における防音対策は外部からの騒音対策を主にしてきました。しかし近年は、内部の音の方が気になるという人が増えています。特にマンションから戸建に住み替えた人が上下階の音や排水設備の音を気にする人が多いようです。たしかに以前であればマンションのトラブルは上下階の音でしたが、最近のマンションはスラブ(床版)厚さ20センチはあり、かなり音対策は進んでいるといえます。

戸建住宅で気になる音とは


戸建住宅で発生して問題となる音は主に次の4項目です。
1.
上下階間(特に2階寝室と1階居間)の音
2.
寝室間(夫婦寝室と子ども室)の音
3.
2階に設置した設備の音
4.
外部からの騒音


戸建住宅に求められる音対策


1.上下階間(特に2階寝室と1階居間)の音
これは2階の歩行音に対する音です。これは床の構造と天井の構造を分離し独立させて天井下地をつくる吊天井とすることが効果的です。天井裏に吸音材(グラスウール、ロックウールなど)を敷き詰めることで発生音を吸収することもできます。
遮音シートをフローリングの下に敷く場合はあまり薄いと効果は期待できません。できる限り厚さのある遮音シートを使います。

2.寝室間(夫婦寝室と子ども室)の音
寝室間の壁は壁内にグラスウールやロックウールを入れる。
さらに遮音性能を上げるのであれば両面に石膏ボードを2重張りにすると良いです。

3. 2階に設置した設備の音
設備の騒音対策については、以前はエアコンの室外機の音が問題になったこともありますが、今は静音設計でかなり音は小さくなっています。むしろ2階のトイレなどの排水音が気になる人が多く、戸建てであっても注意しなければなりません。一般的な対策としては、配管の引き回しを寝室などの個室の天井や壁に通さないこと、トイレの位置を1階のキッチンやリビングの上に計画しないことです。
配管はしっかり止め、振動など起きないように施工することが大切なのでこの辺りをチェックしておきましょう。

4.外部からの騒音
外部騒音に対して一番の弱点となるのは、外壁の開口部です。近年は防音サッシや防音ドアなどを用いる戸建ても増えています。またコストの問題もありますが、音がひどい場合は2重の防音サッシを設けることでかなり改善されます。

騒音の意外な盲点となっているのが、換気扇です。換気扇から入ってくる騒音に対しては外部に防音チャンバーを設けた空調換気扇が効果的です。


住宅性能表示制度で戸建住宅の音環境対策が限定されています。しかし音ははじめから対策を講じていないと見えないだけにややこしい問題になります。特に戸建て住宅では二世帯住宅の場合に注意が必要です。内部騒音が増えている原因として、高気密高断熱化の普及によることも考えられます。音を気にする人は、通風計画、換気計画などとあわせて音計画もチェックしておくことです。

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