竹富島、石垣市内の郷土料理
やや二日酔いです。石垣から船で10分、珊瑚礁に囲まれた竹富島へ。周囲約9kmの重要伝統的保存地区に指定されている愛らしい島です。珊瑚礁で造った石垣、赤瓦屋根に鎮座するユーモラスなシーサー、鮮やかな南国の花々。そして、民宿らしき建物から微かに聞こえてくる三線の音。ゆったりと歩む水牛車に揺られて寛ぐ、島の時間を楽しみます。
帰りは石垣市内でフリータイム。ランチのリードオフマンとなったTさんが、それらしき郷土料理店を発見。ツアー一行は、勢いをつけて店内になだれ込みます。座敷きに上がり店内を見回すとあるある!ヤギ汁とイカスミ汁、グルクンの唐揚げ、石垣牛、八重山そば、海ぶどう、しゃこ貝…壁一面に手描きのメニューが溢れています。
それぞれに注文した料理の皿を回しながら、「こんなの始めて!」「うまい!食べてみませんか」「この正体は何なの?」「ちょっと、食べる前に写真撮らせて!」「海ヘビ!追加で頼んでみようか?」。テーブル上に感嘆符と疑問符が乱れ飛びます。昨夜の民謡酒場に続き、本日もみんなイチャリバチョーデー!
思いがけない三線ライブ
満腹後、集合時間まで解散となりそれぞれが石垣の町に散って行きます。私たち夫婦もメインロードを外れブラブラと裏道の探検へ。すると前面ガラス張りの喫茶店が。店内に美しい三線がディスプレイしてあります。食後のコーヒーを飲もうと店内に入りメニューを覗いていると、カウンターの奥からマスターらしき和服の男性が登場しました。明るくモダンなインテリア+三線+和服。このユニークな取り合せに女房が閃きました。
女房:
「もしかしてココで島唄を聴けるんですか?」
マスター:
「ええ、三線教室を開いているんですが、ご希望とあれば」
ガイド、女房
「是非とも!」
愛され歌い継がれた島唄。波の音を想わせ、何故か懐かしい三線の音色が店内に満ちます。あぁ、ここにも石垣のスローな時間が……
放っておかれる「退屈」満喫サービス
バカンス村への帰路、車内で午後のスケジュールが告げられます。「これからは予定は組んでいません。終日フリーです。村内でアクティビティをお楽しみください」。 さて何をして楽しむか、それとも何もしないを楽しむか。ディナーまでたっぷり4・5時間余り。実は女房と私、こんな時間を100%楽しむため密かに文庫本を隠し持っていました。彼女はベッドで読みかけのS・キングの短編集、私はビーチで“青春”の夏目漱石。薄曇りで肌寒いせいかビーチには誰もいません。遠くでウィンドサーフィンを楽しむ若者が数人。白いデッキチェアに座り、サンダルを脱いで砂の感触を楽しみながら青春時代へプレイバックです。
漱石の1ページ目を開く。「うとうととして目が覚めると女は何時の間にか、隣の爺さんと話を始めている。この爺さんは慥かに前の前の駅から乗った田舎者である。発車間際に頓狂な声を出し…
聞こえるのは波と風の音だけ。珊瑚礁の彼方は雨か、雲の間から群青色の海へ薄い虹が架かっています。これぞロングステイの楽しみ、島時間の過ごし方。しばらく僕を放っておいてください。
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