庭に五本の木を植える
ある住宅メーカーが五本の木をテーマにした「ビオガーデン」という製品を提案したことがありました。庭に「五本の木」を植えようというものです。鳥のために三本、蝶のために二本の木を、それぞれの地域によって異なる植生の木を植えることで、かつては日本のいたるところで見られた里山、人と自然の接点を回復しようというコンセプトです。写真はイメージです
シジュウカラを例にとると、一羽が一日に食べるのが3センチの毛虫に換算して約350匹、年間に食べる虫の数は合計12万5千匹という研究報告もあります。昆虫類を食べる20~30羽の群れが来なくなれば、その周辺は1日に5千~1万匹の毛虫が生き延びるとか。
結果はどうなるか?1ヵ月で生き延びた毛虫15万~30万匹が葉を食い荒らす。葉っぱは光合成が満足にできず樹木の生長が遅れる。一方、虫や木の実を食べる鳥がいれば、消化されなかった種を糞と共に地上に落す。肥料になって雑木林を作る。
どうです?鳥も虫も野の草も、何一つ無駄のないのが自然です。
独断ピックアップ、野鳥が喜ぶ五本の木
女房のアドバイスを受けながら、以下はそのリストです。・ヤブツバキ/冬から早春にかけて咲く、鮮やかな赤い花。一見、小さなリンゴのような美味しそうな色の実が成ります。昆虫の少ない時季を、メジロやヒヨドリが花粉の媒介をしているようです。
・ヤマボウシ/上向きに咲く花が、我が家より高台に住むご近所の人気者。白い花が上から見ると壮観とか。文字どおり、木全体が白いボウシをかぶっているようです。やって来る野鳥はメジロやムクドリ、そしてスズメ。
写真はイメージです
・ガマズミ/小さな並木にして楽しんでいます。春には楚々とした小さな白い花が咲き、香りが部屋の中まで漂ってきます。実りの時季には赤く変身し、実は梅干しのような味。食べに来るのは、ヒヨドリやムクドリ、メジロなど。
・サンショウ/赤い実からのぞく黒い実がアクセント。柔らかい若い芽と実を、私たち夫婦とクロアゲハが競争で食します。独特の香りの粒をパスタにパラリと。
春にはメジロがさえずり、キアゲハが飛ぶ。夏にはホトトギスが鳴き、ウスバキトンボが舞う。こんな自然の仲間たちと暮らせる庭を作ってみせんか。田舎暮らしを選ぶということは、結局その地域の自然環境を守るということにも繋がっているのではないでしょうか。
野鳥写真の提供>>森の父さん花鳥風穴