不動産売買の法律・制度/不動産に欠かせない「道路」の知識

敷地と道路との関係

建物を建築する際に重要となる「敷地と道路との関係」について、その概略を説明します。「道路であって道路でないもの」も存在するので注意が必要です。

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.4】

都市計画区域内の敷地では、公道私道を問わず建築基準法に定める道路に「2m以上」接していなければ、建物を建築することができません。これがいわゆる「接道義務」です。

建築基準法にはいくつかの「道路の定義」がありますが、それを細かく説明するとだいぶ長くなりそうなので、ここでは省略します。詳しくは≪道路の種類と接道義務を正しく理解しよう≫をご参照ください。

少し余談になりますが、この「道路」というのは簡単そうで実は厄介な代物です。道路を定義している法律には建築基準法のほかに、「道路法」「道路運送法」「道路交通法」などがあり、「道路法による道路」が「建築基準法による道路」の一つの定義になっている以外は、すべて異なる内容になっています。

また、所有関係による公道と私道、不動産登記法の地目としての「公衆用道路」などは、他のどの法律とも完全一致はしません。従って、建築基準法の道路ではない「公道」や「公衆用道路」も存在するわけです。ましてや「公衆用道路=公道」ではありません。

話を戻して、建築基準法に定める道路は原則として幅員4m以上(指定がある場合には6m以上)が要件であり、これに足りない場合にはセットバックといって、道路の両側で均等に敷地を下げなくてはなりません。ただし、反対側が川などの場合には、不足分を一方的にセットバックすることになります。

また前面道路の幅員によって容積率に制限があったり(住居系の用途地域の場合、前面道路が4mだとすると、指定容積率が300%だったとしても実際に使える容積率は160%になります)、道路斜線で建物の高さに制限を受けたり……よく建物の上の階がナナメになっていたりするのはこのためです。

いずれにしても建物を考える際には道路が非常に重要です。

なお、敷地の前面が建築基準法の道路で、幅員が4m以上あるからといって安心できないのが厄介なところ。役所で管理している幅員(管理幅員・認定幅員)と現地のいま現在の幅員(現況幅員)とが一致しない場合も多々あるのです。役所によって若干対応が違いますが、現況幅員の方が狭い場合に「とりあえず今度新築する敷地側で一方的に下がっておいてくれ」という指導をされるケースもあります。


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