通販などでおなじみのクーリング・オフ制度ですが、住宅など不動産を購入する際にもこの制度が適用される場合があります。
「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所等以外の場所において当該宅地または建物の買受けの申込みをした者または売買契約を締結した買主は、一定の条件のもとで申込みの撤回または契約の解除ができる」
この規定を読んでも何やら分かりにくいでしょうが、まず「売主が宅地建物取引業者で、買主が業者でない一般のユーザーであること」が大前提です。中古住宅などで売主が個人の場合には、一切の適用がありません。
次に申込みまたは契約を行なう場所ですが、売主業者の事務所、売主の代理業者や媒介業者の事務所、モデルルームや案内所などで宅地建物取引主任者を置くべきとされる場所のときにはクーリング・オフ制度の適用対象外となります。
また、買主自身が申し出た場合における、買主の自宅または勤務先での申込みや契約も、クーリング・オフ制度の適用が除外されます。
つまり、買主が “自ら” 申し出ていないのに、その自宅や勤務先に押し掛けて買受けの申込みを受けたり売買契約を締結させたりした場合にクーリング・オフの対象となるわけです。
また、たとえ双方の合意があったとしても、喫茶店やレストランなどで交わされた申込みや契約にはクーリング・オフが適用されます。
なお、自宅や勤務先で契約などが交わされた場合には、「買主が自ら申し出たのかどうか」をめぐって争いになることがあるため、申込書または契約書にその旨を記載することが望ましいこととされています。
クーリング・オフ制度の適用は「8日間」となっていますが、申込みまたは契約の締結をした日から8日間ではなく、宅地建物取引業者から “申込みの撤回や契約の解除を行なうことができる旨とその方法等” を告げられた日から8日間(告げられた日を含む)です。
また、8日以内であっても対象物件の引き渡しを受け買主が代金の全部を支払ったとき(一括決済などの場合)には、クーリング・オフ制度が適用されません。
クーリング・オフによる申込みの撤回や契約の解除の意思表示は書面によることが必要とされ、その書面を発したときに効力が生じます。また、その書面に証拠力を持たせるために、配達証明付内容証明郵便によることが適切とされています。
そのため、“告げられた日” を含めた8日目までに郵便局の窓口で手続きができれば万全ですが、8日目が土日にあたるときには注意が必要です。また、通常の郵便や電話による意思表示でも無効ではありませんが、トラブルとなった場合に証拠力不足は否めません。
なお、買主からクーリング・オフの申し出があったとき、宅地建物取引業者はすでに受け取った申込み金や手付金などの金銭があれば、速やかに買主へ返還しなければならないことは言うまでもないでしょう。
関連記事
不動産売買お役立ち記事 INDEXガイドの不動産売買基礎講座 INDEX
売主が業者と個人でどう違う?
消費者契約法と不動産売買