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江戸っ子になるにはどこに住む?(4ページ目)

今年は江戸開府400年。でも肝心の“江戸の町”がどこまでだったのかは意外と知られていません。そこで現在の東京でどこまでが江戸かを探ります。

執筆者:平野 雅之


幕府内部でもはっきりしない江戸の範囲。さすがに 「これじゃあマズイだろっ」 ってことで、開府から215年経った1818年 (文政元年) 12月に老中阿部正精から幕府の正式見解が出されます。これは地図上に江戸の範囲を朱色の線 (朱引) で示したもので、東は中川まで、北は荒川・石神井川下流まで、西は神田上水まで、南は南品川町を含む目黒川辺りまでが 「御府内」 とされています。

それ以後、江戸の範囲といえばこの朱引の範囲内と解釈されるようになったようですが、これを現在の行政区画と照らし合わせると、千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・台東区・墨田区・江東区・渋谷区・豊島区・荒川区のほぼ全域と、品川区・目黒区・北区・板橋区のそれぞれ一部となるようです。 (もちろん明治以降の埋立地は違いますけどね。)

東京都公文書館所蔵の朱引図
(東京都公文書館ホームページ 「レファレンスの杜」 より)
朱引図の中で、朱色の線の内側にある黒線 (墨引) は町奉行の支配範囲を示す。江戸城が大きく見えるのは、四谷・市ケ谷・飯田橋などの外堀までを含んで表しているため。

この朱引による江戸の範囲が、1868年 (慶応4年/明治元年) の “東京” 改称以降における東京府、1889年 (明治22年) の東京市設置へと繋がるわけですが、結果的に朱引後の “江戸” はわずか50年しかなかったことになります。ちなみに東京都の発足は昭和18年、東京23区の成立は昭和22年のことです。

そんなこんなで江戸の範囲の解釈もまちまちですが、由緒ある (?) 江戸っ子を目指すなら、千代田区・中央区に住めば間違いなし。港区・文京区・台東区・江東区・新宿区の皇居 (江戸城) 寄りエリアならOK、といったところでしょうか。

広い意味では周辺区もOKですが、残念ながら大田区・世田谷区・中野区・杉並区・練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区はどの時点でも全域が江戸 “府外” となっています。

ところで、江戸っ子を名乗るには三代続けて江戸で生まれなければならないらしいですから、今から移り住んでも、ひ孫の代まではダメってこと?

マジで江戸っ子になるんだったら、神田や芝で生まれ、金儲けは考えずに粋で暮らし、神田明神を信仰する町人でなければならないようです。べつに本気で江戸っ子になる必要なんてないんですけどね!


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  夏の特別企画・その1 【江戸・幽霊坂の謎
  夏の特別企画・その2 【江戸・怪談ゆかりの地を歩く



壱頁 ≪江戸の歴史
弐頁 ≪風水による町づくり
参頁 ≪江戸の町ってドコ?
四頁 ≪江戸幕府による正式見解では?≫
五頁 ≪霊感のツヨい人へのオマケ



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