今回は、購入する物件の残代金支払い日とその引き渡し日がずれるケースについてのご質問をいただきました。
(東京都世田谷区 匿名 30代 女性)
さて、ご質問の件ですが不動産の売買においてたいていの場合は、残代金の支払い(=決済)にあわせて所有権の移転および物件の引き渡しを行ないます。
このうち、所有権の移転は特別な事情がない限り残代金の支払いと同時であることが原則となるものの、引き渡し日を残代金の支払い日とずらすことは実務上それほど難しいわけではなく、そういった事例も少なからずあります。
もちろん、売主または買主どちらかの一方的な意思だけで日付を変更することができるわけではなく、あくまでも双方の合意が前提となります。
条件が整い、双方の合意があれば、残代金の支払い前に入居することは可能
先行入居を認めるケースはほとんど買主の都合によるもので、子供の転校日程による場合や、これまで居住していた賃貸住宅の契約期限による場合、売却した住宅の明け渡し日程による場合、引越しの都合による場合などが該当します。
また、先行入居に似た措置として、残代金の支払い(所有権移転)前に買主による内装リフォームを認めるケース(=先行内装)もあります。
先行入居でも先行内装でも、それを希望する時点で購入物件がすでに空家(あるいは新築完成済み)となっていることが前提です。まだ住んでいる売主を追い出してまで「残代金の支払い前に入居やリフォームをさせてくれ」というのは常識的に通用しません。
また、先行入居とは逆に残代金の支払い(所有権移転)後も、売主がその物件にしばらく居住するケースは、いうまでもなく売主の都合によるもので、転居先物件(新築未完成物件など)の引き渡しが遅れる場合などですが、買主が投資目的で購入したならともかく、自分で住むために購入する買主にとってはなかなか認めづらいことでしょう。
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