不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

近くに墓地があれば重要事項として説明される?(2ページ目)

購入しようとする住宅のすぐ近くに墓地があるとき、宅地建物取引士による重要事項説明で取り上げられるのでしょうか? 墓地以外の忌避・嫌悪施設なども含めて考えてみることにします。(2015年改訂版、初出:2005年9月)

執筆者:平野 雅之


今回取り上げた「墓地」や、以前の「ゴミ屋敷」に限らず、購入予定物件の近くにある忌避施設や嫌悪施設については、非常に難しい問題を孕んでいます。

そもそも「墓地」は忌み嫌うべきではないと考える人もいるほか、中には重要事項説明で取り上げるか取り上げないかという話をすること自体に不快感を覚える人もいるでしょう。

忌避施設や嫌悪施設などの説明については明確な基準がなく、いずれも説明をする側の主観的な判断に拠らざるを得ない部分も多いのですが、「その施設の存在が買主の購入意思の決定や売買価格の決定に影響を及ぼすものなのかどうか」が一つの判断基準となります。

つまり、買主の側からみて「それを知っていたならこの物件を買わなかった」あるいは「もっと安くしなければ納得できなかった」と主張する余地があるかどうかということになります。

この場合に「一般の人が通常の考え方でどう判断するか」が問題になるわけですが、その線引き自体が一人ひとり微妙に異なるのですから困ってしまうでしょう。

もし、お客様の事情で「コレが近くにあったら嫌だ」とか「霊感が強いので墓地の近くはダメ」などの条件や、一般の人よりもこだわる内容のものがあれば、不動産業者に対して事前に伝えていただくことも大切です。重要事項として説明されるかどうかだけではなく、あらかじめ積極的に調査の依頼をすることも欠かせません。

なお、都市部の墓地はお寺の境内の一角にあるケースが大半でしょうが、お寺の存在そのものは一般的に敬遠されるものではなく、何か他の要因がないかぎり重要事項説明の対象にはならないものと考えられます。


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