新築マンションなどの場合には若干異なる部分もありますから、中古住宅を不動産業者の媒介によって購入するケースを中心に説明をしましょう。
住宅ローンを利用する場合の特約において解釈の違いによるトラブルを避けるためには、売買契約を締結する前の段階で、申し込みをする金融機関と住宅ローン商品の内容をできるかぎり明確にすることが最善です。
媒介業者から急かされるままに「とりあえず先に売買契約を締結して、住宅ローンのことは後から考えよう」というのはトラブル必至であり避けなければなりません。
契約締結前の段階で明確に決めておかないと、解釈の違いによってトラブルの原因になる
返済方法、返済年数、予定金利など細かい部分については売買契約書に記載されないこともありますが、そのときには重要事項説明書にひととおり記載してもらい、少なくとも申し込み先金融機関名と申し込み金額だけは売買契約書にも明記してもらうことが必要です。
もちろん、民間金融機関の住宅ローンと公的ローンなど複数のローンを併用するのであれば、そのすべてについて同様に記載してもらいます。
もし、売買契約を締結するときまでに申し込み先金融機関を決められないのであれば、許容できる範囲(金利固定期間○年以上、返済期間◯年以上、金利○%以下などの条件)を明確にすることでトラブルは回避できるでしょう。
最近では売買契約を締結する前に、買主が住宅ローンを申し込む予定の金融機関で事前の審査を受け、仮承認を得てから契約の段取りを進める媒介業者も多くなっています。このようなときには、その仮承認を得た住宅ローンの内容が特定できるような記載をしてもらえば大丈夫です。
このとき、他の金融機関でさらに条件の良い住宅ローン商品があれば、書類に明記されたものと同時に申し込みをして、両方とも承認されたらどちらかを選択するということも可能です。ただし、同時に申し込みをする件数が多いと、そのこと自体が審査に悪影響を及ぼすケースもありますから気をつけなければなりません。
そして、いざ住宅ローンの申し込みが否認されたとき、自動的に売買契約が解除となるのか、買主の選択に委ねられるのかは契約条項の内容次第ですが、選択型の場合に解除権を有したまま別の金融機関に再度申し込みをしてみるかどうかは買主の意思によって決めれば良いことです。
実際にトラブルとなる例では住宅ローンの具体的内容が明記されず、単に申し込み先が「媒介業者指定の金融機関」とか「買主指定の金融機関」などとだけ記載されているものが大半です。
また、同様に申し込み先を「都市銀行」とだけ記載する媒介業者も多いようですが、住宅ローン商品が多様化している現在において、これではどこまで申し込みをする義務があるのか、誰にも分かりません。
なお、宅地建物取引業法では不動産業者が “あっせんする” 住宅ローン(提携ローンなど)について、その内容およびそれが成立しないときの措置(契約を解除できること)を重要事項説明書に記載することになっています。
買主が自分で金融機関を選んで申し込みをしようとするときには説明義務がないため、重要事項説明書への記載が省略されるだけでなく、売買契約書への記載までもが曖昧になったり、まったく記載されなかったりする例もあるのです。
しかし、しっかりとした媒介業者であれば、たとえ買主による自主申し込みの住宅ローンであっても、買主との間で事前の打合わせを十分に行ない、宅地建物取引業法による説明義務がなくても重要事項説明書に細かく記載したうえで、売買契約書でもその取扱いを明確にしています。
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