-宅地建物取引業法詳説〔売買編〕 No.1-

住宅や土地を購入した後に何らかのトラブルや問題が発生したユーザーから、「この不動産業者のやり方は宅建業法違反ではないのか?」といった内容のご質問をいただくことがあります。

不動産業者の店頭

大多数の人が一生に一度は不動産業者と関わりをもつが、世間にはあまり知られていない部分も多い

ところが、質問者が指摘するとおりに宅地建物取引業法違反が疑われるものばかりではなく、好ましくないけれども “法律上では” 問題がないもの、宅建業法ではまったく想定していないようなもの、宅建業法以外の法律に違反しているものなど、その実態はさまざまです。

日常生活のうえでは消費者との接点が少ない宅地建物取引業法ですが、住宅の購入や売却をするときに関わる不動産業者は、すべてこの法律に従って業務を行なっており、これに反すれば「宅建業法違反」となるわけです。

そこで全86条の宅地建物取引業法のうち「一般の人も知っておいたほうがよいこと」「知っておけば役に立つこと」などをピックアップし、順に詳しく解説していくことにしましょう。

なお、ここでは不動産の売買に関連する項目を中心に説明することとし、賃貸業務のみに関する部分は省略します。

それでは、まずはじめに第1条(目的)から。

宅地建物取引業法第1条(目的)

ちなみに、昭和63年12月召集の通常国会よりも前に成立した法律では、促音の小さい「っ」や拗音(ようおん)で使われる小さい「ゃ、ゅ、ょ」などが大書きされています。それまでの法律の慣行だったようですが……。

よつて、宅地建物取引業法(昭和27年制定)の条文も促音などが大書きとなつています。ちよつと読みづらいでしようが、法律の本文部分はそのまま掲載しています。


宅地建物 “取引法” ではない

宅地建物取引業法の第1条は法の目的・理念の部分で、あまり突っ込むところはありませんが、ここで覚えておきたいのは「宅地建物取引 “業” 法」であって「宅地建物取引法」ではないということです。

つまり、宅地建物取引業の免許を受けた(あるいはこれから免許を受けようとする)宅地建物取引業者の業務に関する規制、手続き、罰則などを定めたものであり、取引の当事者となる個人および法人(宅建業者以外の法人)にはこの法律が適用されないことになります。

宅地建物取引業法によって、個人である売主や買主に不動産取引上の何らかの義務を課すこともできないのです。

したがって、宅地建物取引業者が関与せずに個人同士で不動産の売買を行ない、それによって何らかの問題が生じたときには、宅地建物取引業法以外の法律に基づいて紛争処理を図らなければなりません。

また、宅地建物取引業法第12条において無免許営業を禁止していますが(これに違反した場合は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金)、無免許営業を積極的に取り締まったり、無免許営業による被害者を救済したりするような法体系にはなっていません。何よりもまず、無免許業者とは取引をしないことが肝心ですが……。

さらに、国や地方公共団体などは宅地建物取引業法の適用が除外されており、これらが行なう国有地売却や宅地分譲などで不適切な行為があったとしても、それが宅建業法違反だとはいえないわけです。


購入者等の利益の保護

第1条に書かれている「購入者等」には、中古住宅の個人売主なども含まれるわけですが、不動産取引では業者売主、個人買主のケースが多いことから、「売買当事者双方の利益の保護」ではなく「購入者等の利益の保護」という表現になったのだろうと推察されます。

また、宅地建物取引業法全体でも、対購入者に関する宅地建物取引業者の規制(消費者保護)に重点が置かれています。


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