[linea]/リネアは、SDレビューで入選し、朝倉賞を受賞した作品と
いうだけあって、かなりユニークなデザイナーズマンションです。
企画・管理はこの方面ではトップランナーのタカギプランニングオフィス。
何がユニークかって? それは百聞は一見にしかずだと思いますが、
何よりもその一直線につくられた長細い室内空間にあります。
それはまるで現代版「ウナギノネドコ」ともいえるデザインで、[linea]は、それが次々平行に並べられているという意味のようです。
玄関を開けて入ると、すぐ長細いキッチンとを兼ねたステンレスのテーブル。そこはキッチンであり、ダイニングであり、リビングでもあるわけです。
どこかカウンターバーに来たようなムードが楽しめそうですね。
そして、その壁際にはポリカーボネイトでいくつかの仕切がなされていて、
それは可動式の何を収めてもOKの収納になっています。山岡さんによれば、
これをポリカーボネイトでしかも可動式にしたのは、できるだけ開放性を
持たせたかったのと、どんなサイズの家具や電気機器にも対応するためとか。
そして南向きの寝室につづく通路の脇にバスルームが隣接していますが、
なんとバスタブが吹き抜けの空間に浮くような形で設置されている。
つまり中空に浮くお風呂。ここからはバスルームが丸見えです。
これはいままでになかった不思議な感覚といえそう。
お風呂はどこか露天風呂的な感覚だし、街の眺めを見ながら入浴することだってできる(ただ、室内からそれが丸見えになってしまいますが)。
つまり考え方では、バスルームが家の“へそ”になっているわけですね。
これはちょっとスノッブな都市生活者の独身者か、生活よりも
お洒落な関係を大切にするDINKSが対象といったところでしょうか。
ここまできたかと思わせる大胆な賃貸集合住宅[linea]/リネアですが、
南面のバルコニーにはしっかりガラスルーバーが付けられていて、
2重構造の開口になっており内部の快適性はきっちり確保されています。
そしてやはり何よりすごいのは、南北にのびる視線の長さ。
まさにストーンと抜けていく感覚があります。それはある意味、
自分を自由に解き放つことのできる快適な“長さ”なのかもしれません。