建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

スキップフロアで部屋が展開される大胆な都市型住宅 岸成行さん

岸成行さんが渋谷区千駄ヶ谷に建てた大胆な構成の家を見てきました。立体型ワンルームともいうべきこの都市型住宅のポイントはスキップフロア。名付けて「階段の家」だそうです。

執筆者:坂本 徹也

巨大な吹き抜けに度肝を抜かれる
岸成行さんの「階段の家」はすごい!



岸成行さんの「階段の家」は、敷地の高低差を利用した、スキップフロアの断面構成になっています。玄関ホールを抜けて一歩入るとアッと驚くような大きな吹き抜けが目に飛び込んでくる。天井はトップライト、上からの光が射し込んできます。
そしてこの建築物の主役ともいえるグルグル回る階段が始まり、それは互い違いになった6つのフロアをつなぎながら、上へ上へと視線を誘います。
この約10メートルの巨大な吹き抜けの途中途中にあるバルコニーのようにも見える踊り場がじつは個々の部屋というわけですね。それにしてもこの高さ、ホールにいるだけでなぜかこの空間を独り占めしていることの満足感が伝わってきます。
この空間はもったいない。私ならここで書き物をしたり、ちょっとした仕事の 打ち合わせをしたりしてみたい。いや、絶対にそうする。


最初の階段を上がって1階はなんと書斎、しかも地下の書庫付きです。なんという書庫の多さ!これなら「捨てる技術」も要りません。窓の外にはちょっとした植え込みがあって、落ち着きます。ちなみに建て主は法律家の方だそうです。
次の階段を上がって1.5階はダイニングキッチン+リビング。吹き抜けの向こうに書斎が見えて、しかもそれがちょっと視線の下にあるというのが視覚的におもしろい。
続いてグルリと上がっていくと、バスルーム+納戸。その次がクロークで仕切を付けてプライバシーを確保した主寝室、続いて2つの子ども部屋、最上階が屋上デッキという順です。子どもたちは、下から部屋までけっこうあるから体力をつけるにはいいでしょう。


 

設計を担当した岸総合計画研究所の岸成行さんは言います。
「ここは敷地が前面道路から約1.5メートル高いんです。この高低差を生かすためにスキップフロアの断面計画を提案しました。建物中央に吹く抜けを取り、上下の空間を結ぶ階段を配置して、その間にフロアを張って部屋をつくっていきました。
夫婦の寝室以外は建具を操作することで各室が連続し、立体的な一室空間となります。

各部屋は階段の踊り場であって、吹き抜けを通して家全体を見渡すことができるわけです。どこにいても家族の気配が感じられる、そんな家をめざしました」
いやはや大胆な発想、それを受け入れた建て主さんもたいしたものです。 どこか昔の学校を思わせるおおらかさとやさしさに包まれた家。子どもの友だちたちにも、きっと人気の的となることでしょうね。

【建築概要】
敷地面積:132.92平米
建築面積:77.52平米
延床面積:257.19平米
構造:RC造、地上3階、地下1階
高さ:最高高さ9.975メートル

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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