建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

家族が個々の独立性を保つ家 鈴木信弘さんの超・狭小住宅(2ページ目)

JR横浜線の大口駅近くに建った鈴木信弘さんの「大口通りの家」を見学しまた。条件の悪い狭小地ながら、ご夫婦と娘さんの3人家族がそれぞれプライベートを大切にしながらつながっていく仕掛けいっぱいの住宅です。

執筆者:坂本 徹也

続いて数段上がるとそこが中2階という位置づけ。南側に奥さんの個室とお嬢さんの個室がやはり上下にずれる形であり、北側にはダイニングとリビングが大きな吹き抜けの中に段差をつけて配置されています。
このずらし方のバリエーションもなかなか多彩で、奥さんの個室とお嬢さんの個室は同じ収納部をはさむ形でつながり、ダイニングとリビングは昔の古民家に見られる台所(土間)と居間(囲炉裏端)のように同じ室内の段差で分けられています。だからどの部屋もみんな、表情が違う!

特筆すべきは、やはりこのリビングの持つタテの広がりの大きさでしょう。
ここが23坪の敷地の半分以下のスペースとはにわかには信じがたいほど大きく感じられる。白いウッドワックスを3度塗りしたという杉貫板と珪藻土の壁の柔らかな雰囲気、小さなトップライトからの控えめな外光、ダイニングとリビングの間にできた微妙な距離感、さらに屋上につながる階段をあえて内壁を立てて隠したことが生み出すシークエンスの重層感---といった創意の積み重ねがきっとこの広がりを演出しているのでしょう。


そして最後の階段を上りきると、そこにはしっかりと奥さんの要望であった「布団の干せるテラス」も用意されているのでした。そうそう、お嬢さんの個室ですが、こちらには小さなロフトが付いていて、そこはマンガ家の卵たちが描き疲れて仮眠をとるのに十分なスペースになっていたことも書き添えておこうと思います。


設計・監理:鈴木アトリエ一級建築士事務所
       http://www008.upp.so-net.ne.jp/atelier555/

施 工  :吉田工務店
構 造  :木造、地下1階地上2建て

敷地面積 :77.57m2(23.4坪)
建築面積 :48.89m2(14.79坪)
延床面積 :120.20m2(36.36坪)
建ぺい率 :80%/300%

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