建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

家族が個々の独立性を保つ家 鈴木信弘さんの超・狭小住宅

JR横浜線の大口駅近くに建った鈴木信弘さんの「大口通りの家」を見学しまた。条件の悪い狭小地ながら、ご夫婦と娘さんの3人家族がそれぞれプライベートを大切にしながらつながっていく仕掛けいっぱいの住宅です。

執筆者:坂本 徹也

道路付け0.9mの旗竿地という悪条件の狭小地に挑戦した
建築家・鈴木信弘さんの意表を突く展開


鈴木アトリエの鈴木信弘さんが建てた「大口通りの家」を見学させてもらいました。
道路付け0.9mの旗竿地という悪条件の狭小地ながら、ご夫婦と娘さんの3人家族がそれぞれプライベートを大切にしながらつながっていく仕掛けいっぱいの住宅です。

ご主人は釣りとバイクが趣味、奥さまは布団を干せるテラスが欲しい、お嬢さんはマンガの執筆仲間と合宿できるスペースが必要という三者三様のニーズに応えるため、ここではスキップフロアを利用してフロアごとに段差をつけ複数の「個室」を確保しています。


しかしながら、各個室はそれぞれの間仕切りに設けられた「窓(穴?)」などを通してつながっており、一見プライバシーが守られているようで、その実コミュニケーションも十分可能というフレキシビリティもあるわけです。

建物の真横に付けられた玄関から1階に入ると、そこはかなり広めの玄関土間。ここはご主人の愛するバイクが道路に直結する開口部を通して自由に出入りできる半外部空間という位置づけです。
そしてここから数段下がった形で半地下のアトリエ、こちらはきっと趣味の釣りの準備をしたりちょっとした仕事を片づけたりするワークルームとして機能するのでしょうか。さらに玄関脇から数段上がった場所には第1の個室、主寝室があります。

玄関土間からさらに数段上がったレベル(西側)に設けられているのがバスルーム。その南側にはもうひとつ個室があります。
ここはご主人だけの独立した部屋としても使えるし、客間としても十分な広さ。玄関土間とこの部屋との間仕切りには、仮囲いに使う杉貫板が使われていて、そこに「覗き窓」が不規則に開けられているため、この家の造りとあいまってどこか忍者屋敷の趣があります。なかなか楽しいですね~。

設計者である鈴木さんが「箱の内部に天井高1.4~4.5mの居場を断面のスタディによってのみ決定し、平面を決定しました」と言われていますが、それだけにこの家の部屋の表情はそれぞれ違っていてほんと多彩です。
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