CODAN Shinonome 、その均一化された世界

ある企業のイベントで、大阪の建築家のみなさんとともに、東雲キャナルコート(CODAN Shinonome)と表参道建築ストリートを見て回るというツアーにガイドとして参加させていただきました。

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まるでオフィス街のように見える建物群

最初に行ったのは、山本理顕(山本理顕設計工場)さんが全体のデザインアドバイザーをつとめられた巨大な集合住宅群・東雲キャナルコート。都市再生機構が取り組んだ、この6街区から成る高層住宅群は、まさに人為的にデザインされた計画都市。建築家が思い描いたプランが実際に人間が住む“まち”として機能するかが問われる壮大な実験といえるでしょう。

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概念としては素晴らしいウッドデッキの中庭

まず一歩、街区に足を踏み入れて思ったのは、なんという「均一化」された世界なのかということ。銀色のビル群が林立する様は、どこか浮世離れした未来世界のうそっぽさを感じさせます。金属とガラスで作り上げた巨大なビル群は、マンハッタンとかにもあるわけですが何かが違う。それは均一な高さ、同質な素材、そして建物自体の新しさから来るのでしょうか…。

ミステリーゾーンに迷い込む

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アベニューにあるガラスの衝立、ベンチの風よけにもなる

街区の中央には、S字にカーブしたアベニューが貫き、これを挟んで3棟ずつの高層住宅が建ち並び、アベニュー沿いにはガラス張りの集会場やおしゃれなカフェ、計画的に配置されたグリーンのある広場、薬局やコンビニなどの店舗や英会話の教室、保育園などが並びます。
特筆すべきは、ものすごい量の木材を使ったコモンプレートの存在。S字アベニューから中庭を介して何重にも重ねられていくコモンプレートは、3階から住居棟の中へと続き、これが不連続的に共用テラスや集会所にも活かされていく形になっています。うわー、こんなに外部に木を使ってメンテナンスは大丈夫なんでしょうか?

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ガラス張りのチケット売り場、景観に馴染んでます

整然と並んだグリーンの配置、無機質にならないよう意図的にデザインされた広場は、絵に描いたように美しい。たしかに整然と、そして美しいのですが、何か物足らない。まるで箱庭に閉じこめられたような感覚を覚えるのです(かつて見たテレビドラマ『ミステリーゾーン』に似たようなシーンがあった!)。
ああそうか、人の姿が見えないからかと気づきました。行ったのはウィークデーの午後ですから、人通りは少なくて当然ですよね。きっと、夕方以降や休日に来れば、このつくられた“まち”は、また違う顔を見せてくれたのでしょう。

コモンヴォイドの使い方が課題

次に都市再生機構のスタッフの方々に案内されて、建物内部を見学させていただきました。
最初は山本理顕さん設計の1街区から----。外から見た印象では、建物のところどころに二層分の風穴のようなコモンヴォイドがあり(このヴォイドは全棟の共通デザインになっているようです)、さらに各階をテーマカラーで分けることで表情に豊かさを持たせたことがポイントのように思いました。

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不規則に穿たれたコモンヴォイドが特徴

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コモンヴォイドから見た風景、各階にはテーマカラーが…

中央を走る廊下には、このテーマカラーが帯状に使われ、それがガラスのシースルーエントランスとあいまって、商業空間のようなイメージ。誰が住んでいるかわからない集合住宅にガラス張りの玄関なんてと思ってしまいますが、この実験的なデザイン感覚が受けて、入居希望者は募集の何十倍もあったとか。

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シースルーエントランスはうまく使いこなすのが難しい?

しかしながら、見たところ、本当に建築家の意図したとおりの使われ方をしている住居はまれな様子。中にはグリーンやかわいい雑貨類、お気に入りのマウンテンバイクなどを展示し、生活を楽しんでいる方もおられましたが、数はすごく少ない。カーテンで目隠しをして住まわれている方が大半のようでした。

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居住者の方のSOHO、使い方の成功例
いっぽう、居住者たちが共同で使えるコモンヴォイドの機能はどうかというと、こちらもまだまだ有効に使われている形跡はなく、せめてここにテーブルと椅子ぐらい置かれていてもよさそうなものなのにと思ってしまいました。

さらにレポートは続きます!