古くから地域の中心地として発展、
住みやすい街として人気

京王線府中駅

京王線府中駅。新宿からの距離は中央線国分寺と同じくらいにあるが、通勤時の所要時間ではやや負けている

2007年、2008年に、東京23区と都下に住んでいる人を対象に、今住んでいる街の住み心地をどう評価するかというアンケート調査を、ある不動産ポータルサイトが行っています。その調査で2007年に2位、2008年に1位となり、注目を集めたのが今回、ご紹介する府中市です。

 



大國魂神社

大國魂神社。2011年には1900年を祝うイベントが行われる予定だ

京王線急行で新宿から40分強(特急、準特急を利用すれば20分台だが、朝の通勤時には利用できない)、府中は縄文時代中期(今から約4500年前)から人が住んできた場所です。その後、111年に大國魂神社が創建され、645年には大化の改新により武蔵国の国府が置かれたと言いますから、古くから多摩地域の政治、経済、文化の中心地だったわけです。

 


府中の森博物館内旧田中家住宅

旧甲州街道仲宿を代表する商家のひとつ、旧田中家住宅。府中市郷土の森博物館に移築されているが、その豪壮さには驚かされる

さらに江戸時代には甲州街道の宿場町、明治以降は郡役所が置かれるなど繁栄を続け、現在の府中市が誕生したのは昭和29年。当時の人口は約5万人でしたが、現在は25万1000人強(平成20年8月現在)。50余年の間に5倍にも増加しており、人口が減少する自治体が多い昨今も年に0.6%(平成18年、19年)~1.2%(平成21年)と高い人口の伸び率を見せています。


各種施設、公共サービスの充実に
住んでいる人の多くが高評価

施設案内の標識

府中市美術館近くの施設を表す標識。市内の標識は全てこのデザインで統一されており、随所に用意されている

この人口の伸びの背景には当然ながら、多くの人が評価した住みやすさがあります。では、どんな点が評価されているのでしょう。前出のアンケート結果で見ると、「生活支援施設の充実度」「自治体公共サービスの充実度」「地域コミュニティ機能」が高く評価されています。実際、府中市のホームページでチェックしてみると各種施設が充実していることに驚かされます。

 


 



東京都立府中の森公園

都立府中の森公園。桜並木があり、季節には花見客で賑わう。美術館のほか、スポーツ施設もある

まず、身近なところで言えば公園です。市内には市立公園だけで大小合わせて350箇所あると言いますから、数だけでも圧倒されます。市立公園以外にもかつて米軍などの基地があった場所を利用した府中市美術館のある都立府中の森公園、調布市との間にある都立武蔵野の森公園がありますし、府中市郷土の森博物館敷地内も公園のようになっています。場所によっては広場だけでなく、水遊びができる池があるなど設備も揃っており、遠くに出かけなくてもご近所で1日遊べるほどです。

 


府中市広域避難所

市内の広域避難所一覧。緑で表示されているのが避難所でかなり広大な地域にわたっていることが分かる

また、公園は災害時などの避難所にもなっていますから、楽しみの場であると同時に安心の場。避難所マップを見ると、公園のほか、大規模な工場、大学、多磨霊園、東京競馬場なども避難所となっており、数も面積も十分にあることが分かります。その点はあまり意識はされていないかもしれませんが、住んで安心な街といえそうです。

 



府中市美術館

府中市美術館。都立府中の森公園内にあり、ミュージアムショップやカフェも併設。近くには未開発の米軍基地跡地が残されても入る

ちなみに私は府中市美術館がお気に入りでこれまでに何度か見に行っていますが、よくある、その自治体出身の画家の作品がメインのものとは異なり、わざわざ見に行くに値する、充実した展示が楽しめます。

 



白糸台文化センター

白糸台文化センター。多機能な施設を揃え、駐車場、駐輪場も用意されている

充実しているといえば、市内11箇所に設けられた文化センターも住民の評価の高い施設のひとつ。これは児童館、公民館、高齢者福祉館、図書館(一部の文化センターには市役所出張所も併設)が一体になった複合施設で、市内のどこに住んでもすぐ近くに図書館や児童館があるようになっています。どの年代にも必要な施設がまとまっているわけですから、便利であるのはもちろん、地域の年代を超えたコミュニティ作りにも寄与している施設というわけです。

 


ルミエール府中

市民会館と中央図書館の機能を備えたルミエール府中。池に面したカフェも人気だそうだ

図書館の数も多く、全13館。これは全国の市町村のうちでもトップクラスで蔵書はなんと130万冊。一人当たり5.29冊になっています。その他、充実している施設としては市内にある13駅全駅に設けられた駐輪場、8箇所ある野球場、15箇所ある庭球場、8箇所ある体育館や9箇所あるプールなどなど。文化、スポーツ、生活と幅広いジャンルの設備が豊富に用意されているのです。

 


子どものいるファミリー

公園、街中で子どもを連れたファミリーの姿を多く見かけた

ただし、残念ながら数は少なくないものの、人口増に追いついていないものもあります。それが保育所。厚生労働省の資料によると平成21年4月1日時点で府中市の待機児童数は301人で前年同時期に比べて100人以上も増加しており、この増加数は全国で14番目。今後解消されることを期待したいものです。

 




武蔵野台駅前にあるスーパー。

京王線武蔵野台駅前にあるスーパー。これ以外にはほんの何軒かの店がある程度で、商店街というのはやや気がひける。こちらは夜12時までの営業

同様に数が少ないと不満の声が上がっているのがスーパーやドラッグストアなど。大半の駅近くにはスーパーはあるのですが、それでも人口比で考えるとまだまだという意見が多いのです。このあたりも人口増に追いつけないでいるということかもしれません。また、商店街も府中駅、分倍河原駅、府中本町駅、東府中駅周辺を除けば、あるというほどもなくというのが率直なところです。

 


続いて数字だけでは表せない、住み心地を見て行きます。