リバーシブルな扉でインテリアが一変
いっぽう11階から下はどうかというと、ひとつのフロアにI字型のワンルームとL字型の1LDKが2つずつの計4室から成っています。I字型の部屋は一見したところ、ごくごくシンプルなワンルームですが、片側の壁一面が移動可能な壁収納になっており、できるだけ室内を広く使えるようにしてあるのは嬉しい配慮です。
この収納に使われている扉は、表と裏の色が異なるリバーシブルなもの。住み手の好みに合わせて選べるようになっています。実際白とブラウンでは部屋の雰囲気がグッと変わってしまうんですよね。
バスルームなどの水回りは、収納とは対面の壁の向こうにうまく収められています。そしてキッチンは、すべての部屋がバルコニー側に寄せられてつくってある。つまりどの部屋の住人たちも、浅草を眼下に見ながら料理をすることになるわけですね。それはなかなかおつなものでしょう。
デザイナーズマンションで生きるTeam 2DKのやり方
人気があるのは、やはりL字型の部屋。こちらはスライド扉で仕切れば独立したベッドルームが得られます。I字型とL字型では10平米違うわけですが、この差は大きい。リビングをベッドルームとしても使うには、空間の使い方に何か工夫が必要ですよね。I字型のショールームではTeam 2DKの建築家たちが提案した部屋の使い方が何案か提示されていました。
設計者の一人、春日部幹さんは言います。
「限られた空間をコストをかけずにどう快適にアレンジしていくか。一人ひとりアイデアを持ち寄って絞り込んでいきました。誰がいつ、どんなアイデアを出してもいいことになっています。それは一人きりでやるよりは、切磋琢磨されている分だけ質の高いものになっていく可能性が高い。やっていて勉強にもなりますしね」
複数の建築家たちで大型のマンションの設計監理をこなす、そんなTeam 2DKのようなやり方が今後は増えていくような気がしました。
■設 計:Team 2DK/一条栄一+春日部幹+橋本直明
■構 造:空間工学研究所 岡村仁
桐野建築構造設計 桐野康則
■施 工:大木建設
■建て主:都市綜研インベストバンク