Macと日本語の歴史
現在のMac OSの元となった最初の日本語バージョンは1986年に登場した「漢字Talk1.0」というOSで、ライバルのWindowsも日本語に対応したバージョン(1.0)は1986年ころであるため、日本語に対応してきた歴史という意味では双方のOSにそれほど大きな違いはありません。そして、Mac OSは主に新聞や雑誌制作などのDTP用途に使われることが多かったので、文字のデザインやレイアウトに関する機能にWindowsとは異なるこだわりがあるようです。
今回は、そんなMac OSの日本語へのこだわりを見てみましょう。
すべての字形を手軽に扱える Mac OS X
Mac OS Xに搭載されている、「ヒラギノフォント」はJIS2004の前身となるJIS X 213:2000(JIS2000)に対応しています。JIS2004とJIS2000の違いは、第3水準における10文字の追加と、168文字の標準で使われる字形の入れ替えです。→経済産業省報道資料 ちなみに、追加された10文字というのはあくまでJISコードに含めたという意味で、既にUnicode上には存在する文字です。字形がないわけではないので、JIS2000でもUnicode対応ソフトで利用できます。 <参考:MSのフォント情報ページ> |
表示が変わってしまうため、以前の字形はなくなっていまったかのように思われがちですが、実際は同一コードの異字体として両方ともフォントファイルに含まれています。
ここで問題となるのは、変わってしまった文字を以前の字形に切り替えたい場合です。
Windows向けソフトウェアで、同一コードに含まれる異字体に交互に切り替えるような機能をもつソフトウェアは、私の知る限りではInDesignやIllustratorなどDTP向けの高価なソフトウェアくらいしかありません。
しかし、Mac OS Xなら標準で付属する「テキストエディット※1」「スティッキーズ」、JEdit というオンラインソフトや、PagesやKeynoteなどの、フォントサイズや大きさを文字単位で変えたもの(リッチテキスト)を入力・表示できるソフトウェアならば、ほとんどのソフトウェア※2でヒラギノフォントを使った異体字の切り替えをサポートしています。
ちなみに、右上にあるJIS2004とJIS90の比較表はPagesというアプリケーションで作成しました。
※1:テキストエディットで異体字を入力したい場合、本文のフォント指定、または環境設定でリッチテキストのフォント設定をヒラギノフォントにしないと異体字への変更はできません
※2:Cocoaアプリケーションに限る