パースペクティブを強調せよ!

そしてもうひとつの特性は、パースペクティブ(遠近感)の強調だ。なにはともあれ、下の写真を見ていただこう。

24mm相当のレンズで撮影した画像。後ろの交換レンズが遠くにあるように見える。

24mm相当のレンズで撮影した画像。後ろの交換レンズが遠くにあるように見える。

72mm相当で撮影した画像。実際の貯金箱とレンズの位置は変わっていない。

72mm相当で撮影した画像。実際の貯金箱とレンズの位置は変わっていない。


どちらも被写体の位置は変えていない。

上は24mm相当で撮影されたもので、下は72mm相当で撮影されたものである。缶が同じ大きさで写るように、被写体との距離を変えて撮影している。

どちらも手前の貯金箱の大きさ自体は変わらないが、24mm相当で撮影したほうは大きく歪んで撮影されているのが分かるだろう。そして、奥にあるレンズがより奥にあるように見える。

これがパースペクティブが強調である。このように空間が歪んだように撮影できるというのが、広角レンズの持つもうひとつの特徴だ。

正確には「広角レンズだから」ではなく「広角レンズを使うことによって被写体に近づいて撮影する」ことによってパースペクティブの強調は起きるのだが……。
まあ基本的には「広角レンズではものが歪んで写る」というのはウソではない。広角になればなるほど近くにある物はより大きく、遠くの物ものはより小さく写るようになる。

たとえばマンションの内装写真は広角レンズで撮影されることが多い。これは1枚の画像で全体を見せなければならないという広告スペースの問題もあるが、広角なレンズであればあるほど空間が広く見える(パースペクティブの強調によって遠くの壁がより遠くにあるように見える)という効果があるためだ。

この歪みを究極的に用いたのが魚眼レンズで撮影した「鼻デカ犬」であるといえばイメージしやすくなるだろうか。

広角レンズでどこからこのパースペクティブの強調が起きるようになるかは被写体からの距離や、被写体がどのようなものであるかにもよるので一概には言い難い。たとえば直線で構成された建築物などを中心に撮影する場合、パースペクティブの強調は目立ちやすい。

その一方で人物撮影であれば、パースペクティブの強調はさほど目立たないことが多い。

一般的には35mm相当であればほとんど気にならないレベル。28mm相当あたりから目立つようになり、24mmを下回る超広角になるとはっきりと分かるようになるといったところだろうか。

この歪みを自在に操るのは、なかなか難しいが面白い。写真撮影の醍醐味のひとつといっても過言ではないほどだ。