桜が彩る近代化の遺産、インクライン
明治から昭和初期にかけて、京都と大津の物流を担ったインクライン。現在は当時の面影を残す形で保存されており、毎年春になると桜に覆われます(2008年4月6日撮影) |
インクラインで使われていた台車。この台車に船を乗せて上り下りしていたとのこと(2008年4月撮影) |
琵琶湖の水を京都に引き込むために作られた琵琶湖疏水ですが、もう一つの目的として、大津から京都の間を移動する荷物や人を船で運ぶ物流ルートの開拓がありました。
水位の差があった蹴上地区と伏見地区にインクラインを設けることで、船が行き来できるようになり、明治時代末期には13万人もの人を運ぶまでに発展しています。
ところが大正時代に入って鉄道や道路が開通したことで、時間のかかる水運は衰退し始め、昭和20年代にはインクラインは廃止されてしまいます。しかし琵琶湖疏水とインクラインが京都の近代化に残した大きな功績を未来に渡って語り継ぐために蹴上のインクラインについては当時の面影を残す形で保存されました。
蹴上駅近く、三条通沿いに見えるインクラインの桜(2008年4月6日撮影) |
南禅寺や永観堂などの有名古刹も近いエリアなので、古刹へのお詣りと共に桜を愛でるといいですね。
南禅寺の桜も忘れてはいけません!
南禅寺の三門と桜。寺社建築に桜は良く似合います(2008年4月6日撮影) |
南禅寺の参道で見られる桜(2008年4月6日撮影) |
また三門の上に登ってみて(有料拝観)、歌舞伎『楼門五三桐』で石川五右衛門が「絶景かな絶景かな」と叫んだように、桜が咲く境内を見下ろしてみるのも楽しいですね。