雪だるま式に利子が元本に組み込まれていくのが複利
暫くお金を預けておきたいとき、利用するのが定期預金。定期預金は、1年、3年などと預入期間を選んで預けると、利子がつきます。ついた利子は利子として受け取るのが単利、受取らずに元本に組み込むのが複利です。定期預金の利子の付き方でどちらか選べるなら、基本は「複利」と覚えておこう
複利と単利の違い
例えば期間3年の定期預金なら、こんな仕組みです。■単利
- 1年後、1年分の利子がつく。利子を受け取る。
- 次の1年、また1年分の利子がつく。利子を受け取る。
- 最後の1年、また1年分の利子がつく。利子と元本を受け取って終了。
■複利
- 1年後、1年分の利子がつく。受け取らずに利子を元本に組み入れる。
- 次の1年は「最初の元本+1年目の利子」に対して利子を計算(利子にも利子がつくことになる)。こうしてついた利子を、また元本に組み入れる。
- 最後の1年「最初の元本+1年目の利子+2年目の利子」に対して利子がつく。
同じ金額を、同じ金利で、同じ期間、預けた場合は、複利の方がつく利子は多くなります。また金利が高くなるほど、預入期間が長くなるほど、複利効果で受け取る利子の差は開き、複利の方がより利子が多くなります。つまり、利子を使う予定がなく少しでも増やしたいなら、複利の方がオトクです。ただし、ついた利子は元本に組み込まれるため、満期まで受け取ることができません。
1年複利よりも半年複利がオトク!
一般的な定期預金「スーパー定期」の説明には、こう書いてあるケースが多いようです。「預入期間1カ月以上3年未満は単利型のみ、3年以上は単利型と半年複利から選べる」。半年複利とは、ついた利子を元本に組み込むタイミングが半年ごとという意味です。1年複利より半年複利、1カ月複利……複利の場合、利子を元本に組み込むまでの期間は短いほど有利
複利の場合、利子を元本に組み込むまでの期間は短いほど有利です。1年複利よりも半年複利、半年複利よりも1カ月複利ということです。でもスーパー定期では、3年未満は複利を選べないことになっています。これを自動的に複利にする方法があります。
複利運用になる定期預金の預け方
例えば、預入期間1年のスーパー定期にして、元利自動継続の扱いにしておくのです。そうすれば、1年後の満期には、ついた利子を組み込んで元本とし、1年のスーパー定期が自動的に作られます。同じ仕組みで、1カ月定期を利用すれば1カ月複利に、6カ月定期を利用すれば半年複利になります。元金のみを自動継続にする「元金自動継続」ではなく、利子も合わせた元利自動継続にするのがコツです。注意点は、その都度、自動継続された時点の金利が適用されること。金利が下がっていれば下がった金利が適用されますし、上がっていれば上がった金利になります。
利子の受け取り時は、税金が引かれる
さて、預金の利子には税金がかかりますが、税金はどの時点で引かれるのでしょうか?預金の利子にかかる税金は、自分で払わなくても、銀行が計算して差し引き、まとめて払ってくれる「源泉分離課税」という仕組みです。
単利の預金では利子を受け取るとき、すでに税金は引かれています。
定期預金を元利自動継続にして、自分で複利にする方法の場合は、いったん税金を引かれた利子をまた預けることになります。つまり、利子がつくごとに税金を引かれます。
これに対して、期間3年以上のスーパー定期などは、利子の受け取りは満期時一括です。税金も、満期時に一括して計算します。満期時に一括して税金が引かれる方法を「満期時一括課税」といいます。預けている間は、税引き前の利子を元本に組み入れる計算となり、手取りの利子はこちらの方が多くなります。
つまり、利子を少しでも多くもらいたいなら、オトクなのは複利で、満期時一括課税のものです。
ついた利子をその都度、使いたいなら単利
単利の預金に、出る幕はないのでしょうか? そんなことはありません。まとまったお金を預けておいて、利子をお小遣い代わりに使いたいなら、単利の出番です。例えば、1000万円の定期預金で、金利が0.5%なら1年後には5万円の利子がつきます。20%の税金(復興特別所得税は考慮せず)を差し引いた手取りは4万円。こういう利用法もあります利子をその都度受け取って使いたいなら単利、利子を使う予定がなければ複利を選ぶのが基本です。
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