クレームの中身は複雑になっているの?
クレーム自体が時代とともに複雑になってきたせいでしょうか。「クレームはモノが壊れた弁償をしてほしい、といったものが多く、いつの時代も同じです」(大森さん)。汚れた壁紙を修復してほしい、ピアノのキズを直してほしい、など。
「壁紙の場合、汚れがたとえ1cm四方であっても、すべての壁紙を張り替えろ! 天井まで張り替えろ! と言われる方が……」(大森さん)。損害は軽微であっても、要求レベルが高くなっていることを感じるとのことでした。
また、こんな例も。
「ある引越しで、転居先に持っていかない洗濯機が室内に放置されていたそうです。その後、洗濯機が水漏れを事故を起こしてしまいました。何かの拍子で排水ホースがハズレてしまったようです。まわりは約10cmぐらいの水浸しで下の住居まで濡らしてしまうほど。『きっと引越し作業中に業者が何かしたハズ。弁償しろ!』とすごい剣幕でまくしたてられたそうです。結果、お客さんの責任ということにはなったのですが……」(大森さん)
この他にも業者が回収を忘れたダンボールを片付けようとして、壁にキズをつけてしまったお客さんがいました。そのキズの責任はダンボールの回収を忘れた業者にある、と居直ったそうです。
クレームがこじれると半年、一年と“怒り”を持ったまま過ごすことも少なくありません。怒りは増幅されると、実損のほか慰謝料を求めるケースにまで発展することも。“落としどころ”を見極める冷静さも必要かもしれません。
取材協力:ひっこし110番