首都圏ではほぼすたれつつある仲人の習慣
紀宮さまの結婚式で目を引くのが、仲人(厳密には媒酌人)をお立てにならないというところ。仲人を立てる人の割合はここ20年くらいで急速に減少しつつあり、首都圏の場合、最近では約9割が仲人を立てずに結婚式を行っています。紀宮さまは控えめな結婚式をご希望され、その一貫として仲人も立てないことを決められたといいます。恋愛結婚の時代に仲人は不要!? |
婚礼に媒人を立てるのは中国法の流れといわれ、媒人を立てない結婚式は野合とみなされました。お見合い結婚が少なくなり、本当の意味の仲人がいない場合でも、結婚式に媒酌人を立てる習慣がずっと続いていたのは、こうした背景があってのことなのです。しかし、それもいまは昔。形式だけの媒酌人は廃れゆく運命にあるのではないでしょうか。
人気はアットホームな披露宴
紀宮さまの結婚式では、ご披露宴はお茶会形式で行われるとのこと。お茶会形式というのがどんなものなのか、私もちょっと想像がつかないのですが、報道によればサンドイッチやオードヴルなどの軽食や飲み物などが出される和やかな雰囲気の会とのことです。つまり、正餐スタイルではないということなのでしょう。こうしたスタイルになったのは、天皇皇后両陛下の席次の問題があったからだと指摘する向きもあるようです。結婚式では、新郎新婦の両親は通常末席に座ることになります。ですが、さすがに両陛下を末席にというわけにもいきません。でも、お茶会形式にすれば、両陛下は部屋の南側に設けられた席にお座りになられるとか。これで席次の問題は解決。しかも、紀宮さまが望んでいらっしゃる控えめな披露宴の趣旨にも添うことになり、一石二鳥ということになります。
また、招待客は130名~150名。皇族の結婚式としては、本当に控え目な規模ということができるでしょう。お招きする方々も親族とおふたりの身近な方々が中心ということで、きっとアットホームな雰囲気に包まれることと思います。
新郎新婦と招待客の距離が近い披露宴が最近の主流 |
結婚式の主役は新郎新婦というのは昔も今も変わりませんが、現在の結婚式では新郎新婦がホストホステスとなり、招待客をおもてなしする、という意識が強いのも特徴です。ふたりの結婚を祝福しに集まって下さった招待客ともに、心温まる楽しいひと時を過ごす、それが現代の結婚式といえます。
現代の世情とかけ離れず、それでいて伝統や格式も感じさせる結婚式。紀宮さまの結婚式は、これからの結婚式を考えるうえで、ひとつの指針となるのかもしれません。
参考文献:高群逸枝『日本婚姻史』(至文堂)、『日本風俗史事典』(弘文堂)
※紀宮さまの結婚式の内容については、「女性セブン」11月10日号の記事などを参考にさせていただきました。
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