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ウエディングケーキ初めて物語1
日本のウェディングケーキの夜明け
日本に西洋料理とデザートが本格的に導入されたのは、明治時代以降です。精養軒や風月堂などのレストランや菓子店が開業し、菓子作りに精力的に取り組んでいきます。その結果、明治8(1875)年までにはビスケットやアイスクリームが売り出されたのです。
明治10(1877)年には第1回内国博覧会が開催。この時に多数の洋菓子が出品されましたが、おそらくウェディングケーキ含め、デコレーションケーキの出品はなかったと思われます。
以下はまったくの私見ですが、おそらくウェディングケーキが作られるようになったのは、明治中頃~後半にかけてのことではないかと思われます。明治37年に著された村井弦齋の『食道楽』には天長節の夜会の光景の口絵(水野年方の手になるものらしい)があるのですが、美しく飾られたケーキらしきものの存在が認められるのです。こうしたパーティで使われているのですから、結婚式にも登場した可能性は十分にあるといえるでしょう。
ここで少し日本の結婚式についてご説明しておきましょう。江戸時代の日本では、武家や一般の裕福な家庭では武家婚礼式によって結婚式が行われました。花嫁は輿に乗って花婿の家へと向かいます。婚礼の場所となる客間の床の間には、蓬莱や瓶子などが飾られており、この前で三三九度の盃を交わすのです。こののち新郎新婦は色直しをし、饗宴へと移ります。
ですが、明治時代に入り、西洋風のレストランやホテルがいくつか建ち始めると、富裕層の間ではホテルでの結婚式もチラホラと行われるようになってきました。明治23(1890)年開業の帝国ホテルでは、その2年後の明治25(1892)年9月28日にドイツ帰りの法学者である穂積八束氏と浅野財閥の創設者・浅野総一郎氏の令嬢であるマツ子さんの結婚披露宴が行われたのです。
また、明治38(1905)年には、日本の公衆衛生の祖であり、日本に海水浴を普及させたといわれる長与専斎の令嬢の結婚式も開催。これは300人の招待客を集める盛大な披露宴でした。もしかしたらこの時にはウェディングケーキが登場したかもしれません。