分類とその特徴は、以下の通り。
1、フレーヴァータイプ
オレンジなどの柑橘フレーヴァーやスイートポテトなどスイーツのような「華やかで甘酸っぱい香り」がキーワード。味わいは軽快ですがすがしい飲み口。芋焼酎ブームを牽引したジャンル。減圧蒸留にしたり、ジョイホワイトを使用したり、華やかな香気を生成する酵母を使用したものがこのタイプとなる。香りが引き立つグラスをつかうのもいい。オンザロックもおすすめ。
2、ライトタイプ
もっとも軽快でなめらかな風味。「すっきり感」がキーワード。芋初心者の方におすすめ。一杯目、淡白な料理と一緒に。減圧蒸留が多い。九州以外の産地ではこのタイプが主となる。
3、リッチタイプ
芋焼酎の中ではもっともスタンダード。蒸した芋、干し芋などの香味を持つ味わい深いタイプ。「コク」がキーワード。黄金千貫、白麹を使用したもの。とくに九州地域の伝統製法で造られたものに多く、各地域の飲酒文化を反映させた楽しみ方が基本。芋焼酎の醍醐味を味わえるカテゴリー。
4、リッチ&キャラクタータイプ
もっとも重厚で個性的な風味。蜂蜜のような凝縮感、焼き芋やキャラメルのような香ばしさがあり「濃厚さ」「個性的」がキーワード。特別な製法や熟成方法で作られたものが多く、初留取りなどもこのカテゴリー。濃厚な料理との相性もいい。通好みで、高価なもの、希少性の高いものもある。
(NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)テキスト「焼酎の基」より)
この4タイプ別にそれぞれのベスト商品を具体的にあげていこう。ここでは、「リッチタイプ」の5つを紹介。芋焼酎の王道ともいえるこのタイプ。ここに所属する銘柄は多いので、飲み飽きせず、比較的お手頃価格で庶民の味方といえるリッチタイプをセレクトした。
5位:黒伊佐錦
鹿児島北部に位置する伊佐地方は、比較的冷涼な気候風土と、おいしい湧き水、地元の伊佐米と原料にも恵まれた焼酎の里で、「薩摩焼酎」とはまた違う「伊佐焼酎」としての文化を築いてきた場所。昭和45年、この地の11の事業所が協業組合を発足させ、銘柄を「伊佐錦」に統一。平成19年には株式会社へと組織変更を行い大口酒造となった。
メインアイテムはもちろん「伊佐錦」だが、昭和62年発売の黒麹仕込みによる「黒伊佐錦」を発売して大好評を得て、まさに鹿児島地元民に愛される銘柄となった。鹿児島に観光に行き、地元の居酒屋に入れば、右も左も「黒伊佐錦」のお湯割りという光景を見かける。黒麹仕込みのコクと甘さ、中盤の旨味と後味のキレのバランスが実にいい。お燗でのんびりと。
<DATA>
1800ml 1,810円
900ml 970円
紙パック 1800ml 1,790円
■大口酒造株式会社
住所:鹿児島県伊佐市大口原田643番地
電話:0995-22-1213
4位:たちばな
プレミアム商品を次々と世に送り出す宮崎、黒木本店だが、地元で愛される芋焼酎「たちばな」を忘れてはいけない。いわゆる日常酒ではあるが、もちろん自家農園の黄金千貫を使用し、丁寧に甕仕込みするのはプレミアム商品とまったく同じ。しっかりとした芋の風味とコク、角の取れたなめらかさ、後味のすっきり感、どこをとっても文句なし。これほどコストパフォーマンス抜群のリッチな日常酒はないだろう。
ラベルには「野に咲くたちばなの花に似て 清く真白く淡く美し」の詩が。まっすぐに焼酎造りにまい進する気概が伝わってくる。アルコール度数は20度と25度がある。ロックもいいが、お燗で旨味を楽しみたい。
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<DATA>
1800ml 20度 1,630円~
25度 2,380円~
1,800ml 紙パック 1,450円
900ml 20度 1,180円~
720ml 25度 1,097円~
■株式会社黒木本店
住所:宮崎県児湯郡高鍋町大字北高鍋776
電話:0983-23-0104
3位:さつま島美人
鹿児島県西部、天草と隣接するように位置するのが長島だ。ここは文字通り島。昭和42年に、島内5つの蔵元が共同瓶詰場として設立したのが長島研醸(有)。銘柄は、島(=世)の男にいつまでも愛されるようにという願いをこめて「さつま島美人」に命名したというほほえましい話はさらにこの焼酎をおいしくしてくれる。
朱色が目立つラベルは不思議と安心感を与えてくれる。それぞれの蔵元の技術を集結し、伝統の芋焼酎らしい深み、バランスのよさ、飲み飽きしない味わい造りを成功させている。最後に戻るのはこれ、とうい芋焼酎ファンは多い。やはりお燗で。
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<DATA>
900ml 970円
1800ml 1,800円
■長島研醸有限会社
住所:鹿児島県出水郡長島町平尾387
電話:0996-88-2015
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