日本酒/おすすめの日本酒

君は知っているか!?「東京ローカル」を!(2ページ目)

東京の蔵元13蔵の銘酒を集めた「東京ローカル」。東京の歴史とともに歩み、東京に育まれてきた代表蔵13社のおすすめ銘柄を、今、あらためて見直してみたい。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

東京ローカルの参加蔵のひとつ、「金婚正宗」をテイスティングする


  「金婚正宗」
400年の歴史を持つお蔵元だ。
慶長元年(1596年)に、江戸の神田鎌倉河岸(現在の内神田二丁目)にて、初代「豊島屋十右衛門」が酒屋と一杯飲み屋を始めたのが創業である。


創始者「十右衛門」の名を冠したお酒。1800ml 2,730円、720ml 1,365円。八反錦を使用。
慶長年間といえば、秀吉晩年にあたり、徳川家康が江戸に入り、江戸城も大改修の時期をむかえていたころ。当時は、まだ、関東ではよい酒を醸る技術がなかったため、「下り酒」と呼ばれる関西から船で運ばれてくる酒が一般的。そこで十右衛門、一念発起。いい酒を醸し、つまみに特別大きな田楽を提供した。その評判は、「田楽も鎌倉河岸は地物也」と川柳にもうたわれ、「ひろめ屋」(昔のチンドン屋)は「豊島屋自慢の白酒」を景気よく広告した。

そこから400年、途切れることなく続く酒造りの歴史の中、明治神宮、神田明神、葛飾日枝神社のお神酒として献上され続けた。
さらに、なんとこの10月、赤坂の日枝神社よりお神酒として「上撰 金婚」の採用が決定したとか。これで、東京の主要三大神社にお神酒としてお納めする唯一の酒となったのだ。
すばらしい。
こんなすごい酒蔵さんがこんなに身近にあったなんて・・・。
あらためて知って驚くばかりだ。

驚くことに、十六代目の若き社長吉村俊之さんは、京都大学と大学院を卒業後、半導体関連の研究開発に従事し工学博士号を得たという超エリート技術者!
お酒の世界に戻り6年目。一度、お酒をご一緒したが、まことに勝手ながら、そのミスマッチがなんだか楽しくなってきてしまった。

創業者「十右衛門」の名が冠された「純米辛口無濾過原酒」は、しっかり骨太ながら、適度な華やかさをもつ、江戸風のからりとした気風のいいお味。十分な酸味が飲み応えをかもし出し、お燗にすれば、いわゆる江戸風のしゃきっと筋の通ったお醤油ベースのお料理にみごとにマッチしてくる。

東京のお酒というのは関東土壌の硬水で仕込まれるせいか、コクのある男性的なタイプが多いように思う。そこのところを確かめに、近いうちお蔵を訪ねなくては。東京のお酒のいいところは、こうやって思い立ったときにひょいとお蔵を訪ねることができることだろう。もちろんお蔵には予約を入れて。超エリートの十六代目と400年の歴史の素敵なミスマッチをこの目で確かめてこようと思う。


■「金婚正宗」
  製造元:豊島屋酒造 042-391-0601
        東京都東村山市久米川町3-14-10
              
  発売元:豊島屋本店 03-3293-9111
        東京都千代田区猿楽町1丁目5番1号  

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