■「量り売り」が復活■
甕や樽、ボトル、1升ビンなどから、必要な量だけ小分けして売ってくれるシステムで、一人暮らしで飲みきれないという人や、ちょっとずついろいろ試したいという人にとても喜ばれているのだとか。
日本酒、焼酎、ワイン、リキュール、ビールとお酒も多彩で売り方にも工夫がある。
たとえば、酸化しやすいワインは樽に窒素ガスなどを添加し酸化しにくくしたり、工場から直送の新鮮な生ビールを専用ボトルで販売したりと、なかなかに魅力的だ。さらに、小分けするボトルもさまざまなタイプがあり、プレゼント用に重宝されているらしいし、ボトルを持参すれば、空き瓶がたまらないというのもうれしいかぎり。
なんて素敵なアイディア、なんで今までなかったのか…、と思ったけれど、昔のお酒屋さんは、たしかみんなこんな風に量り売りしてくれていたのだったなあ。徳利持っていけば、日本酒入れてくれたんだよなあ。
■泡盛独特の「仕次ぎ」システムとは?■
ところでこの量り売り、最も真価を発揮するのは、泡盛ではないかと思っている。なぜなら泡盛の古酒は、「仕次ぎ」と呼ばれる独特な方法でお酒を熟成させるからだ。
このシステムは、古酒を入れておく「親甕」から古酒を汲みだした後、減った分を「2番甕」から「親甕」に注ぎ足す、「2番甕」の減った分を「3番甕」から注ぎ足す、「3番甕」の減った分に「新酒」を注ぎ足す、というように次々に足していくので、いつまでも古酒がなくなることがなく、おいしいままに保存できるというもの。
量り売りする甕を「親甕」にすれば、常にいい状態の古酒を汲みだしできるし、売り切れることがないわけだ。
この「親甕」を無償貸し出ししてくれるというのが、沖縄県宮古島の株式会社多良川。中身は、アルコール43度の五年古酒。割り水なしの原酒だ。
■親甕の貸し出し、可!!■
貸し出ししてくれるのは5升と3升で、どちらも蛇口付き。お酒屋さんだけでなく、飲食店のカウンターなどでもそのまま使えそうだ。量り売り用のボトルやラベルは配布してくれるし、もちろん中身が少なくなれば「仕次ぎ」用のお酒のみも売ってくれる(←これが重要)。
仕次ぎの「親甕」から直接古酒を買えるなんて、うれしいではないか。本物感を味わえるし、お酒の席の話題にもなる。琉球ガラスのボトルをあれこれ揃えて、小分けして売るのも風情があっていいかもしれない。
そんなお酒屋さんだったら、ちょっと遠くても買いに行ってしまうだろうなあ。