旅をするたび、あらためてこんなことを思わされる。人々が生きていくために、体に蓄えてきたものにはどれも意味がある。とくに環境が厳しい地域ではその叡智が集約され、ごく自然なかたちで毎日の食卓に取り入れられているものだ。食はある意味、極限状態から生まれる最高傑作だといえるだろう。
さて、そんな世界各地には、注目したい作品が盛りだくさん。今回はアフリカの西の果て、モロッコの一部の地域でしかとれないオイルをご紹介したいと思います。
限られた地域でしかとれないモロッコの逸品
アルガンオイルって聞いたことがありますか?食以外にも、化粧品やエステなどでも使われているので、そちらの方面からこの名を耳にしたかたもいらっしゃるかもしれませんね。
以前、メールマガジンでも少しご紹介したが、アルガンオイルはワタシがモロッコを旅して以来、オリーブオイルやごま油同様、常飲しているオイルだ。少したらしただけで、料理の味がぐんとアップするので、本当に重宝している調味料のひとつである。
アルガンオイルはモロッコの南西部にのみ生育する木、アルガンツリーの果実の種から作られる植物性のオイル。古くからこの地に自生し、生活に不可欠なオイルとして、静かに、そして大切に伝えられてきたという。