食材を余すところなく利用するモンゴルの調理術
まずは新鮮なうちに内臓類が調理される。腸をきれいに洗い、そのなかに横隔膜や胃袋、血液、生肉、脂などを細かくたたいたものを入れて口をしばる。家庭によってみじん切りにしたねぎや玉ねぎ、ニラ、にんにくなどを一緒にいれることも。胃袋も同様に詰め物をし、下処理をした他の内臓類とともにすべて鍋に入れて、コトコトと弱火で煮込む。味つけはシンプルに塩のみ。
素材はどれも新鮮そのものなのでクサミはほとんどない。かわりに各素材の滋味深い旨みや香り、食感が渾然一体となった妙味。これを存分に堪能することができた。なかでも私が今でも思い出しては、再び草原の地へ向かいたくなるのは、大腸の詰め物である。数種類の部位をあわせ、腸にとじこめたことで生まれたたっぷりのスープ。いやはや、この複雑に絡み合った旨さは郡をぬいていましたね。シンプルな調理法からあれほどの味が生まれるとは・・・!と、モンゴル人たちの食のセンスに感嘆した瞬間でもあったのででした。
次は男性が豪快に調理する「赤い食べもの」をご紹介。