主食は「白い食べもの」と「赤い食べもの」
左上下の写真は乳製品。スーパーに並んでいたフレッシュな乳製品と乾燥した乳製品。右上下の写真は肉類。屠殺した肉の一部は家の中で乾燥させる。腸、胃、肝臓などの内臓肉は新鮮なうちに調理される。 |
モンゴルの人たちの主食は、乳製品と肉類が主。近年では小麦粉を使った食物を摂るようになったものの、彼らの食は基本的に家畜からまかなわれている。乳製品は「白い食べもの」と呼ばれて初夏から秋にかけて食し、肉類は「赤い食べもの」として晩秋から冬、春にかけて食される。
肉類は家畜の羊、山羊、馬、牛、ラクダのほか、タルバカンというリス科の野生動物がそれにあたるのだが、夏は冬に備えて肉をほとんど食べずに家畜を肥えさせ、冬が近づくと生肉を塩茹でして食したり、干し肉にして保存する。まさに自給自足の生活、家畜は生命の源として、草原の遊牧民の食には欠かせないのである。
私が訪れた6月中旬には、多種の乳製品が食卓を飾っていたのだが、来客が来たということで、家の人たちは特別に羊や山羊を屠殺し、生肉のほか内臓や血液、骨の髄まで余すところなくふるまってくれた。内臓や血液類は各種のビタミンやミネラルが摂取できる貴重な食物として、大切に扱われていた。またその味わいも美味なことから、モンゴルの人たちは大好きな食べものののひとつのようである。
「(内臓類を指差して)これをたくさん食べてね」、とホームスティ先のお母さんに何度もすすめられたので、生命の源に感謝をしながらありがたくいただいたのだが、精のつくものはやはり量を食べられないものですね。さすがの私も胃にずっしりと濃厚な栄養分がのしかかり、精一杯がんばったのだがそこそこの量しか胃におさまらなかった。生肉は基本的には冬に食されるが、祝いの日や来客時には夏でもふるまわれるそうである。
さて、「赤い食べもの」がどのように調理されるのかは次のページでご紹介。