対処法はカップルそれぞれ
奥さんに、一度「ご主人は、日本にいた時は何を食べていたの?」と聞いたことがあります。
彼女の答えは……
「ハンバーガー」と「ピザ」と「フライドチキン」と「パスタ」のローテーションがあって、それを繰り返していた、とのことでした。
はあ~、なるほどねえ。日本では、これらのものは問題なくどこでも食べられますものね。
缶詰や瓶詰めなら外国の味も手軽に食せますが、缶から出すだけではちょっと味気ない…ですよね |
どのような料理を出しても食べてもらえないので、結局、奥さんはもう日本食を作るのをあきらめ、ツナの缶詰をあけて器に盛る毎日だということでした。
もし、自分の夫がこうだったら……?
私は「いたたまれないだろうなあ」と思います。日本食をこれほどまでに拒絶され、自分が日本人であることを隠され、人前で日本の悪口を言われているということは、私のアイデンティティそのものを否定されたように感じるからです。
食べてみて、食べられない物は仕方ない。でも、食べずに「日本食」というだけでそっぽを向かれるのは、なんだか自分が育った文化や、ひいては私自身にも、どこかで背を向けられているような気がしてしまいます。
でも、こういうカップルも、現実にいらっしゃるんですよね。
彼女が見つけた妥協点
長い長い葛藤と戦いの時期を乗り越えた後、彼女は妥協点を見い出しました。
それは“家では日本食は作らない。食べたくなったら友達と日本食レストランに行く”というもの。こう決めて割り切ってからは、少し気持ちもラクになり、それなりにうまくやっているそうです。
国際結婚カップルの間では、3度の食事も、時にはお互いの文化や精神面にまでつながる重みを持っているのです。
この“妥協点”は、夫婦の間で、微妙に調整しながら見つけていくしかありません。
この例のご夫婦のような方法が、別のカップルでうまくいくとは限りませんし、彼女たちだって、子供が生まれたら、子供には日本の食文化をきちんと伝えたいと、食卓に日本食が再登場することだって考えられます。
それぞれのご家庭のなかで、みんなが一応納得できたり、みんなが少しずつ我慢すればうまくいくという“接点”を、見つけていくしかありませんね。
がんばって!!
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