ご主人の手紙には「君とはチームになりたい」と書いてありました。
しかし、Y子さんにはその意味するところが、うまく理解できなかったとか……。
「“同じ立場で協力し合う仲間”ということなんだろうと思うのですが、私がアメリカ人じゃないから理解できないのかもしれないですね、その『チームになりたい』感覚っていうのが。日本だと、もっと違うと思うんですよ、夫婦の捉え方が」
たしかにそうかもしれません。
言われてみると、私たち日本人には分かりづらいかも……。
お互いに、夫婦だけど、家族というチームとして、1つの目標に向かってチームワークよく協力し合うという、そういう考え方でしょうか?
「いや、そういうことではないらしいんですよ。実はいまだに『チームになりたい』がどういうことか、よく理解できない(苦笑)。私が日本の中にいるからかもしれない、アメリカに住んでいたら違ったかもしれないのですが……。
彼は『君とはチームになれないから、君に頼まれたことはやりたくない』って、そう言うんです」
そ、そんなあ……
「つい2~3年前まで、『君とはチームになれない、チームになりたいけれどうまくいかない』って散々言われてました。ず~っと言われ続けてましたね。やはり、これも文化の違いなんですかねえ。
最近になって、ようやく言わなくなりました。もうあきらめたみたい(笑)」
う~ん、「チームになりたい」がどういう意味なのか、ますます気になってきました。
役割分担ということでもない?
「違うんですよ。夫は仕事、妻は家事とか、そういうことではないんです。私に仕事はしていてもらいたいけど、かといって家事を手伝ってくれるわけではないですし……」
えっ、アメリカ人のだんなさんって、よく家事を手伝ってくれるみたいですけど……。
「違う違う。ドイツ系だからですかねえ? 彼はしてくれません。
それに、日本に長く住んでいると、日本の家庭がわかるんでしょうね。日本人に求めるものがあって、無意識に“日本人と結婚”しているようなところがあるから……。奥さんはお母さんでもあり、恋人でもあるっていう考え方みたいですよ。実際『お母さんでもあるでしょ』って言われましたから。
でも、妻に対して、お母さん的なものを求め、恋人的なものを求め、チームとしてのものを求め……。ちょっと多いと思いません?(笑)」
ご主人は3人兄弟の末っ子で、上と年が離れているため、お母さん的なものを求める傾向が強かったようでもあります。
ただ、Y子さんご自身のことを振り返ってみると、彼には母性本能をくすぐられるようなところがあったから、ひかれた部分もあったとか……。そういう甘えん坊の彼を見ていて、なんとなく放っておけないな、と……。
「だから、たぶん、主人のそういう面は分かっていて結婚したんですけど」とおっしゃいます。
やっぱりご主人のこと、しっかり引き受けていらっしゃるんですね。