■アザと間違えられる蒙古斑
私たち日本人、黄色人種にとっては当たり前の蒙古斑ですが、他の地域や人種の人にとっては、たとえ医者であっても、蒙古斑のことを知らない・見たこともないということもありうるのです。
そこで恐いのが、子供を病院に連れて行ったり、裸になるような場所に行ったときのこと。知らない人にとって蒙古斑は、ぶたれたあとが青くなって残ったアザとしか見えないのです。つまり、親が“幼児虐待”をしているのではないかと、あらぬ疑いをかけられてしまうわけ。
北米では幼児虐待は大問題ですから、知らないうちにソーシャル・ワーカーに通報されていた……ということも起こるかもしれません。
こんな事態を未然に防ぎ、周囲の人の誤解を招かないようにするには、あらかじめ蒙古斑について、その国の言葉で説明できるようにしておくことが大切です。
まずパートナーに話して、訳すのに協力してもらうのもいいでしょう。
その国で使われている育児書などに蒙古斑の説明があればいいのですが、もともとモンゴロイドがあまり住んでいない地域の育児書にそういう記載があるとは思えないので、やはり自分で手を打っておいたほうがいいですよね。
日本の育児書を調べてみたら、0歳児の身体的特徴として、次のような記載がありました。
「おしりから背中にかけて、蒙古斑と言われる青いあざがあります。このあざは有色人種に見られるもので、神経系の成熟度と深いかかわりがあるとされ、これがあれば赤ちゃんが胎内で健康に育った証拠とも言われています。有色人種でも蒙古斑のない赤ちゃんもいます。なくてもまったく問題ありません。蒙古斑は、5~6年で自然に消えます。」
(『のびのび育児百科』 法研)
この“赤ちゃんが胎内で健康に育った証拠”には注目です。
本当はお母さんの愛情のマークなのですね。
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