国際結婚を考えている時、ふたりのうちのどちらかが自分の国を離れて暮らすという将来の生活は容易にイメージできても、この別れのつらさまでは想像できないのではないでしょうか? でも、これは国際結婚をする際に“覚悟しておかなければならないこと”の一つなのです。
2度のつらい別れ
この夏の里帰りで、そんなことを2度体験してしまいました。1度目は日本から来ていた妹が帰る時。初めてスイスに来た妹を案内して、チューリヒやベルンの観光をしたり、アルプス内にある家族のシャレーに泊まって周辺の山々をハイキングしたり、オードリー・ヘップバーンの記念館を訪ねたり。そんなことも楽しかったけど、久しぶりにいろいろなことをゆっくり話せたことはもっと楽しかった。自分のことや家族のことを話した(というより報告しあった、かな)時間より、「この化粧水はいいよー」なんて他愛ないおしゃべりをしていた時のことを、なぜかいちばん思い出します。
もう帰省後の別れは何度も経験しているから、今回もグッと涙をこらえて、ゲートでお互い笑顔で別れたのですが、さすがにこの数日間、(日本に帰ったのとは違って)私も旅行気分でエンジョイしていただけに、妹の姿が見えなくなったとたん、一気に寂しさがこみあげてきて、メソメソ泣いてしまいました。すぐに家に帰る気にもなれず、目的もないまま、しばらくダウンタウンでぶらぶらしていましたが、その間もメソメソしっぱなし。
「次はいつ会えるかなぁ?」
そう、それがまだ分からないから寂しいのです。
2度目はスイスの家族との別れ。これも親密度が増すごとに、年々つらくなってきます。特に今回は義妹との別れがつらかった。私たちが帰省している時、彼女は子供たちを連れて、できるだけ実家に帰ってきます。そして時間が許せば必ず空港まで見送りにきてくれるのですが、今回は都合で実家での別れとなりました。目を真っ赤にして私たちと別れのハグをし、車に乗り込む姿を見送った時は、私の目もウルウルでした。もちろん、彼は私以上に寂しかったことは言うまでもありません。
家族と別れるとき、「今度来られるのはいつ?」と必ず聞かれますが、即答できるものではありません。それもつらい。1年後か、来年のクリスマスか、私たちにもまだ分からないのです。分かっているのは「次の連休」や「2、3カ月後」ではないということです。